2005 Fiscal Year Annual Research Report
心エコー法による弁輪縫縮術後の虚血性僧帽弁逆流の発生機序:後尖可動性低下の重要性
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17500334
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
尾辻 豊 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30264427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 隆造 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20325781)
鄭 忠和 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10163891)
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Keywords | ischemic mitral regurgitation / surgical annuloplasty |
Research Abstract |
虚血性僧帽弁逆流(MR)の主な機序は左室拡大に伴い乳頭筋が外側に変位し弁尖を異常に牽引しその閉鎖を妨げる(tethering)ことであるが、虚血性MRに対して実際に行われている外科的治療は弁輪縫縮術である。この治療は70-80%の症例には有効であるが、無効例が多いことが問題となっている。 僧帽弁輪縫縮術は僧帽弁輪後部を前方に移動させるために、乳頭筋先端と僧帽弁輪後部間の距離が延長し、その結果僧帽弁後尖の可動性の低下(すなわち僧帽弁後尖のtetheringの増強)を来し、MRを発生させる可能性があると予想される。 虚血性MRに対し外科的僧帽弁輪形成術を施行した30例において、心エコー法を用いて僧帽弁前尖および僧帽弁後尖のtetheringを計測し、僧帽弁逆流の重症度も定量化した。 僧帽弁形成術後には、僧帽弁前尖のtetheringは変化しなかったが僧帽弁後尖のtetheringは前例で増強した。僧帽弁後尖tetheringの増強の著しい症例に虚血性MRの残存・再発が見られ、僧帽弁逆流の重症度と僧帽弁後尖tetheringの程度は良く相関した。 外科的僧帽弁形成術後に見られる残存・再発性虚血性僧帽弁逆流は外科手技に伴う僧帽弁後尖のtethering増強と関連していると思われる。
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