Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 具文 東北大学, 病院・助手 (40323034)
菊地 正嘉 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70005065)
森川 秀広 東北大学, 大学院歯学研究科, 助手 (60302155)
為川 雄二 東北大学, 大学院・教育学研究部, 助手 (30351969)
畑中 啓作 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70351880)
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Research Abstract |
本研究は,舌癌を含む頭頸部癌などによる構音・摂食・嚥下障害を持つ中途障害者に装着した舌接触口蓋床義歯による機能回復に対する脳中枢の運動・感覚関連磁界の調査・解明を通して,痴呆などによって失われた記憶・学習・思考のシステム回路の再獲得のためのリハビリテーション治療法と社会復帰のためのプログラムの確立をめざす. 平成17年度は,その基礎資料を得るため成人有歯顎者を対象に,2つの実験を行った.1)中枢の舌運動関連磁界に関しては,下顎運動制御・光ファイバー式舌運動観測装置を用いて,舌尖部を突出・挙上する運動の際に現れる脳磁界を,2)中枢の口腔感覚関連磁界に関しては,3つの器官,口唇,舌,歯槽部を対象に,口腔各部を安定的に刺激するためのクリップ用刺激装置を用いて,(1)上下口唇粘膜側,(2)舌背・下面,(3)上下歯槽・舌側,(4)上下歯槽・頬側,それぞれ左右中・側切歯相当部など,計32カ所に電気刺激を与えた際に現れる脳磁界を,それぞれMEGとMR画像の統合システムを用いて測定し、脳の三次元解剖構造との関連での位置関係について調査した. 以下のことが明らかになった. 舌運動関連磁界は(1)潜時約-150から-50ms付近に,両側性で前方を向く2電流双極子型磁界分布(第1波)を得た.その信号源位置は,中心溝前方で,正中神経刺激体性感覚誘発磁界N20m信号源の前方下方外側に推定された.2)口腔感覚関連磁界は(1)すべての刺激部位での信号源は一次体性感覚野の存在する大脳の中心溝に同定された.(2)正中神経刺激時の信号源との相対角度は各器官でまとまっており,左右,上下,前後による違いは認められなかった.(3)各器官別の比較では歯槽部頬側と歯槽部舌側は舌と近接しており,口唇だけが有意に上に位置していた.この様に歯槽部と舌に関しては,上から順に口唇,歯槽部及び舌が整然と位置しているわけではなく,特に歯槽部と舌は近接していることが示唆された.
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