2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500350
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山口 昌樹 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 助教授 (50272638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 一則 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (90261768)
高井 規安 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (90163154)
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Keywords | バイオマーカー / センサ / 交感神経 / 唾液 / 重症心身障害児 / 情動 / ストレス / 計測 |
Research Abstract |
本研究では,交感神経活性の指標として有望視されている唾液に含まれるバイオマーカー,すなわち唾液アミラーゼを用いた重症心身障害児のための新しいノンバーバルコミュニケーション手段を提案した。 本年度は,データベース構築に向けて,唾液アミラーゼによる重症心身障害者の生理的変化の検出の可能性を検証するために,重症心身障害者5名と健常者15名のストレッサーに対する生理反応を唾液アミラーゼ(sAMY)で定量的に評価して比較した。重症心身障害者の検査は筑波大学,健常者の検査は富山大学の倫理委員会の承認を得た。 重症心身障害者のストレス負荷前のsAMYは26.2±22.7kU/l(mean±SD),健常者のストレス負荷前のsAMYは17.1±4.9kU/lであり,両群間に顕著な差異は観察されなかった。重症心身障害者のsAMYでは,ストレス負荷前と負荷中で有意差が観察されたが(P<0.05),ストレス負荷中と負荷後では有意差が観察されなかった(P>0.05)。一方,健常者のsAMYでは,ストレス負荷前と負荷中,ストレス負荷中と負荷後の何れにおいても有意差が観察された(P<0.05)。このように,重症心身障害者において,唾液バイオマーカーの絶対値には健常者と顕著な差異はないが,その応答性が健常者と比べてやや低下していることが示唆された。 本研究によって,従来にない全く新しい重症心身障害児のためのノンバーバルコミュニケーション手段実現の可能性が示された。本研究の成果は,国内外の学術論文3編,著書1編,および日本重症心身障害学会学術集会等で報告した。これらの成果は,科学的な根拠に基づいた中学生のメンタルヘルスマネージメント等へも活用できると期待された。
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Research Products
(4 results)