2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛と二次的な筋の変性に対する予防の実験的研究
Project/Area Number |
17500353
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
肥田 朋子 名古屋大学, 医学部, 講師 (20223050)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水村 和枝 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (00109349)
和田 正信 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (80220961)
|
Keywords | 神経因性疼痛 / ストレッチ / 鎮痛 / GDNF / ELISA法 / 下腿三頭筋 |
Research Abstract |
疼痛モデル動物を用いて物理的刺激による治療を試み,筋機能および疼痛への影響を明らかにすることを目的に,本年度も引き続き坐骨神経絞扼による神経因性疼痛モデル(以下CCI)を作成し,その一部はモデル作成直後から下腿三頭筋に対して1日あたり30分の持続的なストレッチ(St)を2週間施し,疼痛行動,後根神経節細胞(DRG)におけるグリア由来神経栄養因子(GDNF)の発現程度および筋機能について調べた。CCI群,CCIストレッチ(CCI+St)群,シャム処置のコントロール(CON)群の外,コントロール群にストレッチを負荷した(CON+St)群を追加して比較した。またGDNF発現は新たにELISA法を導入して定量化を試みた。 CCI群における足底皮膚へのvon Frey毛(VF)刺激に対する逃避反応回数は、CCI術後徐々に増加し、CON群に比較して有意差を認めた。CCI+St群は反応回数の増加時期が遅れた。下腿内側部におけるVFによって測定した皮膚痛覚閾値はCCI群が術前の6割まで低下したのに比べ、CCI+St群は8割程度だった。また閾値低下の時期が遅れる傾向にあった。一方,Randall-Selitto法で測定した下腿三頭筋部逃避反応閾値は,CCI+St群では余り低下せず術後14日目にはCCI群に比べ有意に閾値が高く,疼痛抑制効果が認められた。DRGにおけるGDNFの発現量は、CCI+St群ではCON群に比べ有意に低下した。しかし、これは昨年度の組織学的検討結果に相反するものであり、今後再検討する必要が生じた。ストレッチはCCIによって生じた下腿三頭筋の萎縮を改善しなかったが、筋線維組成変化を抑制した。 これらのことから、慢性痛や筋の二次的変性に対してストレッチの効果がある程度示された。
|