2005 Fiscal Year Annual Research Report
筋傷害性慢性痛症と運動療法の効果についての基礎実験的アプローチ
Project/Area Number |
17500381
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
橋本 辰幸 愛知医科大学, 医学部, 助手 (80367763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊澤 孝朗 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20022775)
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Keywords | 筋傷害 / lipopolysaccharide / 高張食塩水 / 慢性痛症 / 運動療法 / モデル動物 / 自律神経 / 行動実験 |
Research Abstract |
軟部組織傷害に起因する慢性痛症は、発症時の患者の疼痛体験が重要なトリガーであることが臨床的に指摘されてはいるが、この病態をシュミレーションしたモデル動物は開発されていない。本研究では、一側のラット腓腹筋に対して炎症性要因であるLPS(lipopolysaccharide)と侵害性要因である6%高張食塩水(HS)を24時間間隔で複合投与した群とLPSとHSをそれぞれ単独投与した群における慢性的痛み行動出現の推移を比較した。傷害部位と関係のない足底の慢性的痛み行動は、複合刺激群のみで確認され、これは両側性に10週以上持続した。これとは対照的に、筋傷害部位の痛み行動及び腫脹は筋傷害作製後3日で消失した。また、LSPとHSの投与間隔を48あるいは96時間にした場合にも同様の慢性的痛み行動が誘発された。今回の実験結果より、少なくとも筋傷害性慢性痛症の発症には、侵害性入力に加えて、炎症性変化が必要であることが示された。また、筋傷害治癒後も持続する痛み行動に加えて、類似した痛み行動が反対側の足底でも出現していることより、足底の慢性的痛み行動は中枢の可塑的変化に由来していることが考えられ、このことは傷害部位の治癒後に発症するという臨床報告と一致する事象である。加えて、LPSの末梢への影響は1日で消失するが、複合刺激の投与間隔を延長しても同様の痛み行動が誘発されたことより、LPSは末梢よりもむしろ中枢で強く作用していることが伺える。以上の結果より、軟部組織傷害により発症する慢性痛症をシュミレーションしたモデルラットがほぼ完成したと考えている。また、痛み系〜自律系異常カップリングの探索と運動療法の効果についての検討は、上述のモデルラットを使用したpilot studyが進行中であり、本実験に移行するためにデータ解析を行なっている段階である。
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Research Products
(4 results)