2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500383
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
手嶋 教之 立命館大学, 理工学部, 助教授 (30288625)
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Keywords | 褥瘡予防 / 車いす用クッション / 快適性 / 温湿度 / 座位保持 |
Research Abstract |
まず予備実験を行い,快適性に関する因子の基礎的検討を行ったが,ほぼ同じ実験条件でも温湿度計測結果の再現性は乏しく,多数回の実験結果を統計的に検討すべきことがわかった.快適性に関係する因子としては,体調などの人間側因子,服やクッションなどの素材因子,室内温湿度などの環境因子が挙げられるが,すべての組み合わせの実験することは不可能であり,まず特定の組み合わせについて集中的に計測する必要があると判断した. そこでまず市販のクッション(ソロPSV)だけを使用し,クッションカバーを(1)通気性重視のトライテックスカバー,(2)温度を保つクリマサーム,(3)ソロPSV専用カバーに遠赤外線効果のシートを重ねたもの,のそれぞれに付け替えたときの温湿度変化を計測して,クッションカバーの影響を調べる実験を行った.対麻痺車いすユーザー1名を被験者として,クッション上に連続2時間座らせ,右座骨部の座面温湿度を30分ごとに計測した.この計測を高温多湿な夏季から低温低湿度の冬季にかけて約90回実施した.その結果,(1)低温低湿度時には2時間でも湿度上昇は飽和しないが,高温高湿度時には30分でも湿度95%以上になって不快になる傾向にあること,(2)しかし室内温湿度だけの影響とは思えない変動が見られること,(3)これら変動の大きさに比べてカバーの種類の違いは顕著とは言えず,今後も計測を継続してこの違いを明確にする方法を見つける必要があること,がわかった. またこの変動要因として自立神経系の影響の有無を調べるため,健常被験者1名で交感神経系優位の状態と副交感神経系優位の状態を作り,脈波周期のゆらぎから自立神経系の状態を確認しながら,座位時のクッション座面の温湿度を計測するとともに,快適性に関する主観評価を行った.この結果,まだ被験者数が少ないが,自立神経系の状態及び上肢作業の有無が温湿度上昇および快適性に影響する可能性が示唆された.
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