2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500383
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
手嶋 教之 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (30288625)
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Keywords | 福祉機器 / 車いす / クッション / 温湿度 / 快適性 / じょくそう予防 |
Research Abstract |
自律神経系の影響測定実験においては、まず健常若年被験者9名を使用し、交感神経優位の条件(条件s)と副交感神経優位の条件(条件p)を作って、車いす用クッションの上に座ってもらって温湿度を測るとともに、快適性の主観評価を行った。その結果、温度は有意に条件pが高くなった。湿度では有意差が出なかった。主観評価では条件sでは半数が冷たくて不快、半数が暑くて不快となったのに対して、条件pでは全員が快適と答えた。また同様の実験を高齢被験者15名を使って行ったところ、温度は条件sの方が有意に高くなり、湿度では有意差が出なかった。主観評価では、両条件とも快適と感じる人も不快と感じる人もおり、統計的には有意ではなかった。このことより、クッションの快適性の主観評価と温湿度とは一致しないこと、自律神経系の影響が大きいこと、若年者と高齢者との差も大きいことが明らかになった。 クッションの安定性評価については、市販のせん断力センサを使った計測ではほとんどデータが出なかった。そのため健常若年被験者を使って画像データのみから姿勢の安定性評価を試みた。ある程度の傾向はみられたが、被験者の体動の影響が大きく、より一層の検討が必要であった。 複数の車いすユーザを被験者とした蒸れに関する実験については、研究協力者の体調面の問題から実験計画を変更して次年度にかけて実施することとしたが、結局実験のリスクが低くかつ複数回にわたって大学に来ていただいて実験に協力してもらえる障害被験者を確保することができず、実験を実施できなかった。この実験準備段階で複数の車いすユーザと意見交換をする中で、長時間座ることによって発生するむくみも快適性を悪化させることが明らかになった。そこで車いすユーザのむくみを定量的に測定する方法を提案して実験したが、クッションの影響は少ない結果となった。
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