2006 Fiscal Year Annual Research Report
幕末関東農村における剣術流派の存在形態に関する基礎的研究
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17500407
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
数馬 広二 工学院大学, 工学部, 助教授 (30204407)
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Keywords | 石田新兵衛 / 外他一刀斎景久 / 新當流 / 松浦肥前隆信 / 新影流 / 河尻左馬亮藤原資久 / 宝泉寺 / 富田越後守重政 |
Research Abstract |
(1)外他流の安房国における展開 千葉県南房総市の石田家所蔵・天正8年(1580)文書によれば、石田新一郎久房の子で「里見八勇士の一人」とされた石田新兵衛茂房へ、外他一刀斎景久より発給(「手続書」)および宇部壱岐守弘政より発給(「許状」)の「外他流」秘伝書が宛てられた。外他流は、戦国時代、里見氏の砦の役割を果たした保田妙本寺(千葉県安房郡鋸南町吉浜)で行われた可能性も考えられる。また外他一刀斎が、里見家家臣へ外他流を指導したことが理解できる。のちに一刀流の祖といわれる伊藤一刀斎は、当時外他一刀斎景久といっていた。門人には古藤田勘解由がおり、岐阜大垣で没している (2)中世・肥前国における新当流の展開 肥前国平戸藩に伝わる新当流文書について調査を行った。松浦資料博物館所蔵の永禄2年(1559年)「塚原与助幹勝太刀免状(1通)」文書によれば、鹿島新当流塚原家の一族であろう与助幹勝が、鹿島から指導のため平戸を訪れ松浦肥前守隆信および実子ら3名へ「一太刀」の切紙を与えた様子がわかった。従来いわれている「極意は一太刀(いちのたち)」説へ疑問をなげかける文書である。 また、長崎歴史文化博物館蔵・天正11年(1583)「新影流文書」には、上泉伊勢守から丸目蔵人を経て河尻左馬亮藤原資久(『信長公記』に名前あり)へ伝授された系譜が記されている。 (3)古河藩『剣術修業記』の翻刻 古河藩士・東軍流免許の千賀牧太が廻国修行英名録のうち、(1)安政2(1855)年4月〜安政5年(1858)(2)安政6年(1859)3月〜文久3年(1863)3月について翻刻した。 (4)剣術加賀藩剣術指南役冨田越後守重政の所持した摩利文尊天の調査 前田利家の祈願寺、石川県金沢市・宝泉寺は開基400年を迎え、武術中條流・富田流を継承した富田越後守重政(「名人越後」)が信仰した本尊・摩利支天がご開帳になった。写真撮影は不可能であったが、金色の光背の前に摩利支天の座像を見た。座像の足の上に、日本剣道の祖、念流創始者でもある念阿弥慈恩が所持し崇拝したと伝承される摩利支天像(一寸八分)の箱も確認できた。
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Research Products
(5 results)