2006 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境を用いたレジスタンス、体脂肪燃焼トレーニングに関する研究
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17500423
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
杉田 正明 三重大学, 教育学部, 助教授 (60235885)
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Keywords | 常圧低酸素環境 / ウォーキング / 体脂肪燃焼 |
Research Abstract |
本研究では常圧低酸素環境下で、強度の低い歩行運動を長時間行った場合、運動中及びその直後(1時間後まで)のエネルギー代謝にどのような変化が生じるのかを明らかにし、低酸素環境下が体脂肪燃焼に及ぼす効果について検討することを目的とした。対象者は健常な成人男性7名とした。身体的特徴は年齢23.9±6.8歳、身長171.0±5.9cm、体重70.0±9.5kg、体脂肪率18.0±5.7%(平均値±標準偏差)であった。 あらかじめ多段階漸増負荷法による歩行時の酸素摂取量から求めた1km歩行するのに最もエネルギー消費の少ない歩行速度にて1時間歩行時を低酸素環境下として15.4%(2500m相当)の酸素濃度時と常酸素環境下で行わせた。この時、運動中及び運動終了15-20分後、35-40分後、55-60分後のガス分析より求めた酸素摂取量、二酸化炭素排出量、呼吸交換比呼気ガスおよび心拍数、主観的運動強度(RPE)、酸素飽和度(SpO_2)、歩行前後での血液成分(遊離脂肪酸、血糖値、トリグリセライド、インスリン、ケトン体、成長ホルモンなど)を測定項目とした。 その結果、低酸素環境下において25%VO_2max程度の運動強度で1時間の歩行運動を行うことは、常酸素環境下の同強度の歩行運動と比較して、心拍数とRPEの増加、酸素飽和度(SpO_2)の低下をもたらし、エネルギー代謝が酸化系から解糖系の方向にシフトする結果が得られた。したがって、運動中の体脂肪燃焼についての積極的な効果は認められなかった。しかしながら、運動終了直後から運動終了後40分までは常酸素環境下に比べて低酸素環境下で歩行した時の方が、呼吸交換比は低い値を示し、脂質の代謝が亢進していること明らかとなり、常圧低酸素環境を用いた体脂肪燃焼については運動後の効果についてその可能性が示唆された。
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