2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の足関節運動における力-速度関係と筋パワー発揮特性
Project/Area Number |
17500438
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
田路 秀樹 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (50118014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 公宥 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (00067232)
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Keywords | 加齢 / 筋パワー / 筋力 / 収縮速度 / 足関節 / 筋電図 |
Research Abstract |
本研究では、若年者との比較から高齢者の足関節運動における力-速度関係と筋パワー発揮特性を明らかにしようとした。被験者は65歳-73歳の高齢男性15名(GO)、18歳-22歳の男子学生15名(GY)である。足関節の力-速度-パワー関係を測定するため、足底屈・背屈運動装置を作成し、足関節が90°における等尺性最大筋力(Fmax)を測定した。得られたFmaxの0、10、20、30、45、60%Fmaxを負荷として底屈・背屈運動(可動域:80°-120°)を行わせ、時間角度変位から90°を通過する際の速度を求めた。得られた力と速度の値をHillの特性方程式に当てはめて力-速度-パワー関係を求めた。また、下腿部前面・後面の筋厚の計測は超音波診断装置を用いて行い、頸骨点より下腿長の遠位30%の位置を計測部位とした。得られた筋厚を二乗し、3.14(円周率)を乗じることにより下腿部前面・後面の筋断面積(CSA)をそれぞれ推定した。 1.足関節背屈運動 (1)全ての負荷条件下でGOがGYに比して有意に遅い速度を示し、力-速度-パワー曲線はGYがGOの上方に位置した。また、最大パワー(Pmax)の出現負荷はGOが37%Fmax、GYが36%Fmaxとなりこれまでの報告の範囲内であったが、GO-GY間に有意差がみられた。 (2)力-速度曲線の湾曲度と示すa/Fmax比は、GO(0.54)の方がGY(0.48)よりも有意に大きかった。 (3)FmaxはGYの298.7Nに対してGOでは244.3N(GYの81.7%)、最大速度(Vmax)はGYの0.95m/sに対してGOでは、0.75m/s(同78.9%)、PmaxはGYの37.9Wに対してGOでは26.3W(同69.4%)となり、いずれも1%水準の有意差が認められた。 (4)下腿部前面の筋断面積は、GOが22.9cm^2、GYが36.9cm^2で両群間に有意な差がみられた。 (5)Fmax/CSAはGYの9.45N/cm^2に対しGOは10.99N/cm^2、Pmax/CSAはGYの1.20W/cm^2に対しGOは1.18W/cm^2、下肢長(L)当たりのVmaxはGYの2.04m/s/mに対しGOは2.02m/s/mとなり、Vmax/Lにのみも5%水準の有意差が認められた。 (6)各負荷条件下での収縮時におけるiEMGとFmax発揮時のiEMGで標準化した%iEMGについては、iEMG、%iEMGいずれにおいてもGY-GO間に差はほとんどみられなかった。 以上の結果から、高齢群の背屈運動の低下は、形態的、機能的要因によってもたらされることを示唆した。
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