2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳波と心理・生理的変動からみた中高年者登山の転倒原因に関する研究
Project/Area Number |
17500466
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山地 啓司 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (50012571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 和夫 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (80189472)
村上 宣寛 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (50115151)
梅野 克身 富山大学, 医学部, 助手 (90086596)
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Keywords | 中高年者 / 登山 / 脳波 / 転倒 / 疲労 |
Research Abstract |
中高年登山愛好者(69.1±5.9歳)7人を対象に、平成17年9月9日〜11日(2泊3日)の立山登山(実験I)、9月16日〜17日(1泊2日)の文部科学省登山研修所での低酸素実験(実験II)及び平成18年3月6日〜10日(4泊5日)同研修所で低酸素実験(実験III)を行った。その結果次の点が明らかになった。 実験1:中高年者の体力には個人差が著しく、7人1グループで構成された登山では、個人によっては山行中無酸素的能力が求められる強度にしばしば遭遇した。そのため、同行程ながら個人によってその疲労度に大きな差が生じた。したがって、中高年者登山グループの構成は体力的に等質的(homogenous)であることが望ましい。もしそれが困難であるならば、体力的にマイペースで上れる単独行が理想である。大脳の活性度を測定するスタンバーグテストでは、反応時間は1.5秒から1.3秒へと速まるものの、誤解答率は27.1%から35.7%へと増加した。特に、登山中酸素負債に追い込まれた者に誤解答率が高い傾向があった。約2400mの標高にある宿泊地における動脈血酸素飽和度(SpO_2)は覚醒時には85〜95%が維持されるものの、睡眠時には70〜90%まで低下する特異な現象が現れた。 実験II:実験1にみられた睡眠中のSpO_2の低下が偶発的な現象かそれとも恒常的な現象であるかを確かめるために、LT点(4mmol・L^<-1>)での1時間にわたる自転車駆動後の睡眠中のSpO_2を調べた結果、実験IでみられたSpO_2の低下が追認された。しかしこの現象は睡眠中にみられる特異な現象で、覚醒すると同時に90%台に回復するものであった。 実験III:実験IとIIで認められた睡眠中のSpO_2の低下現象のメカニズムを追及するため、睡眠中と覚醒時のCO_2による換気応答に関する研究を行った。その結果、睡眠中のSpO_2低下が呼吸数や一回換気量の低下と同期することから、睡眠中のCO_2に対する感度の低下が原因と考えられる。 次年度はさらにそのメカニズムについて追究する。
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