2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳波と心理・生理的変動からみた中高年者登山の転倒原因に関する研究
Project/Area Number |
17500466
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山地 啓司 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (50012571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 和夫 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (80189472)
村上 宣寛 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (50115151)
梅野 克身 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 助手 (90086596)
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Keywords | 中高年者 / 登山 / 動脈血酸素飽和度 / 心拍パワースペクトラム / 自律神経 |
Research Abstract |
中高年登山愛好者(5名)を対象にして低酸素環境下と低地における睡眠中の生理的応答の相違を検討したところ次のような結果を得た。 1.被験者5名の低地と低酸素環境下の睡眠深度II以下の出現率は低地の50.2%に対して低酸素環境下では25.6%と有意に減少した(p<0.05)。 2.低酸素環境下の平均SaO_2は89.8±0.45%となり、低地での平均SaO_2(95.4±0.31%)より有意に低くなった(p<0.002)。 3.低地と低酸素環境下の睡眠時のHFの平均値はそれぞれ110.2±27.0と75.1±24.5となり、低酸素環境下のHFの値は有意に低かった(p<0.001)。 4.低地と低酸素室の睡眠中の平均心拍数は61.7±1.58拍/分と69.1±1.35拍/分となり、低酸素環境下の心拍数が低地の値よりも有意に高くなった(p<0.001)。 5.低地で睡眠を開始してから100分間の睡眠時に、低呼吸状態になった時間の割合は6.0±4.36%であった。一方、低酸素環境下では低呼吸状態になった時間の割合は28.3±15.49%と有意に長くなった(p<0.05). 以上の結果から、低酸素環境下(hypoxia)での睡眠は低地(normoxia)に比べて、睡眠の深さが浅く、低呼吸状態になり、SaO_2も低くなり、副交感神経の抑制が弱まっていることが認められた。すなわち、中高年者では低酸素環境下における睡眠中、十分な休息が取れない状況にあることが明らかになった。このことが中高年者の登山中の事故とどのような因果関係があるのかについては、さらに検討が必要である。
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