2005 Fiscal Year Annual Research Report
肥満小児におけるメタボリックシンドロームの実態と食事、運動による改善
Project/Area Number |
17500470
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
冨樫 健二 三重大学, 教育学部, 助教授 (10227564)
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Keywords | 肥満小児 / メタボリックシンドローム / 運動療法 / 食事療法 / アディポサイトカイン / 内臓脂肪 |
Research Abstract |
肥満や糖・脂質代謝異常、高血圧などの動脈硬化危険因子は同一個人に集簇して存在しやすいことが明らかにされており、近年、メタボリックシンドローム(MS)といった概念で整理されつつある。本研究は日本人肥満小児におけるMSの実態を把握するため、MSの発症頻度や、それに対する性や年齢、肥満度の影響を検討した。 対象は平均年齢9.1歳の肥満小児247名(男児151名、女児96名、平均肥満度45.7%)であり、空腹時採血により中性脂肪、HDLコレステロール、血糖値、インスリン値、尿酸値、GPTの定量を行った。また、血圧測定、ならびに腹部CT撮影を行い、腹部脂肪分布の検討を行った。その後、2005年に発表されたMSの診断基準と小児適正体格検討委員会の提唱しているカットオフ値を用いMSの判定を行った。 日本人小児におけるMSの発症頻度は、標準体重児で0.9〜1.4%(原ら2005)と報告されているのに対し、肥満小児では14.6%と高値を示した。MSの発症頻度は全体として性差は認められなかったが、肥満度が高くなるほど、また年齢が上昇するほど高頻度に出現することが示唆された。脂質代謝や血圧では異常値の頻度に性差が認められないにもかかわらず、内臓脂肪の異常値は男児に(オッズ比女児に対し2.7倍)、また、インスリン値の異常は女児に(オッズ比男児に対し2.8倍)高頻度であり、小児期であっても性によりMSを形成する基盤が異なる可能性が示唆された。尿酸値やALTなども肥満小児(特に男児)において高頻度に異常値が認められたことから、このまま肥満が放置された場合、動脈硬化性疾患のみならず痛風や脂肪肝などの疾患を発症する可能性が示唆された。現在、MSを有する肥満小児を対象とした食事療法、運動療法を実施中であり、次年度はこれらの結果も踏まえて現状および対策を整理する予定である。
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