2006 Fiscal Year Annual Research Report
肥満小児におけるメタボリックシンドロームの実態と食事、運動による改善
Project/Area Number |
17500470
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
冨樫 健二 三重大学, 教育学部, 助教授 (10227564)
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Keywords | 肥満小児 / メタボリックシンドローム / 運動療法 / 食事療法 / アディポサイトカイン / 内臓脂肪 |
Research Abstract |
小児におけるメタボリックシンドローム(MS)診断基準暫定案を用いて平均年齢9.4歳、肥満度42.7%の肥満小児549名(男児338名、女児211名)のMS発症頻度を検討した。ウエスト径の判定において異常値(≧80cm)は全体の56.8%に認められ、肥満男児において肥満女児よりも異常値の頻度は高かった(61.5% vs 49.3%)。次いで異常値が多かったのは中性脂肪(34.8%)、拡張期血圧(22.0%)であり、HDL-C(6.9%)、空腹時血糖(7.4%)、収縮期血圧(8.0%)では異常と判定される頻度が比較的低かった。全体では11.5%(肥満男児10.1%、肥満女児13.7%)がMSと診断され、予備群(腹部型肥満および脂質代謝異常、血圧高値、高血糖のうち1つのリスクを持つ者)を合わせると、49.9%(肥満男児50.9%、肥満女児48.3%)がMSを疑われた。これらの結果より、小児においても肥満に伴いMSのリスクは明らかに上昇すると考えられた。 次に、平均年齢9.9歳、平均肥満度54.1%の中〜高度肥満小児39名(男児27名、女児12名)を対象に約4ヶ月間にわたる食事療法(必要所要量の75〜80%程度)、運動療法(平均心拍数120〜140拍/分の運動を1日30〜60分、週5〜7回)を実施した。減量プログラム前ではウエスト径の異常が81.6%に認められ、全体として13.2%がMSと判定されていた(予備群を含めると65.8%)。プログラム後、体重は平均で8.1kg減少し、内臓脂肪面積も平均53.3cm^2から33.1cm^2へと有意に減少した。一方で、全身持久性の指標である最大酸素摂取量は体重が減ったにもかかわらず絶対値において有意に増大し(1461.5→1499.0ml/min)、体力面においても改善が認められた。減量プログラム後におけるウエスト径の異常値出現頻度は81.6%から13.2%へと減少し、中性脂肪、収縮期血圧、空腹時血糖においては異常値出現頻度が0%となった。その結果、MSと診断される頻度は13.2%から2.6%にまで減少し、肥満小児に対して食事面、運動面で対策を行うことのMSに対する改善効果が認められた。
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