2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者メタボリック症候群における動脈硬化病変・ADL・精神機能に対する運動の効果
Project/Area Number |
17500473
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
櫻井 孝 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (50335444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 俊宏 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60403234)
横野 浩一 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50144580)
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Keywords | 高齢者 / メタボリック症候群 / 運動療法 / 動機付け / 脳機能 / 近赤外分光法 |
Research Abstract |
高齢者メタボリック症候群ではアルツハイマー病と関連することが報告されており、高インスリン血症がその病態背景として重要である。また高齢者でも運動を行うことでインスリン血症の改善、ひいては脳機能の改善が期待される。そこで私たちは糖尿病を合併した高齢者メタボリック症候群における脳機能を、近赤外分光法(NIRS)を用いて解析した。近赤外分光法とは、脳機能が賦活された時の限局性の脳血流変化を、経皮的に測定する光学的方法である。その利点は、非侵襲性、時間解析能が高いこと、脳機能の賦活のための方法に特に制限がないことである。 若年者(n=6)における両側前頭葉にて、語想起負荷により賦活される酸化Hbは約30秒に著明な増加を示した。健常高齢者(n=5)でも両側の前頭葉同部に血流の増加を認めたが、その程度は若年者より軽度であった。アルツハイマー病高齢者(n=7)では、語想起負荷により賦活される酸化Hbはほとんど認められなかった。高齢者メタボリック症候群(n=5)では、健常高齢者で見られた酸化Hbの増加領域、程度は狭まっていたが、その背外側にあらたな増加領域が観察された。 これらの結果は、メタボリック症候群では前頭葉の語想起に対する脳機能の活動性が変化しており、脳機能の代償が生じている可能性が示唆された。今後、新たに賦活された脳の領域を同定すること、また定期的な運動を高齢者メタボリック症候群にて行い、その脳機能に及ぼす作用を観察することが重要と考えられた。
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Research Products
(7 results)