2006 Fiscal Year Annual Research Report
染色布の耐光堅ろう度における基質および紫外線吸収剤の効果
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17500515
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
芳住 邦雄 共立女子大学, 家政学部, 教授 (60220620)
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Keywords | 紫外線吸収剤 / ベンゾトリアゾール系 / 光変退色 / 一重項酸素 / 分光照射 / ポリエステル / ナイロン / 分散染料 |
Research Abstract |
本研究は、繊維製品の光変退色における紫外線吸収剤(UVA)の作用を明らかにすることを目的としている。染色布の光変退色特性の解明と、UVAの変退色防御効果の波長依存性を作用スペクトルにより明らかにすることに主眼をおいている。その際には基質の相違による影響にも着目した。 実験には、染色工業で実用に供されている8種の分散染料による染色布を用いた。基質にはポリエステルおよびナイロンを用いた。UVAにはベンゾトリアゾール系UVAを用いた。光照射では、フェードメータによりマルチクロマテッィクな光および回折格子による単色光によって実験を行った。その効果算定に当っては、照射エネルギーを基準とした。 マルチクロマテッィクな光による照射実験の結果、基質によりUVAの変退色防御効果は異なることが明らかになった。ポリエステル染色布上では全ての試料布において防御効果が認められ、また、UVA加工濃度を3倍にすることにより効果はさらに増大し、40%〜75%の防御効果が認められた。これらは、染色布上に染着したUVAの光吸収率を上回る効果であった。一方、ナイロン染色布に対してはUVAの防御効果は実質的に認められなかった。さらに、分光照射実験を行った結果、UVA未加工布においては、ナイロン染色布はポリエステル染色布に比べ変退色レベルが著しく大きかった。以上の実験結果からUVAは光を吸収する機能に加え、一重項酸素(^1O_2)を消去して染料分子の酸化を防止する役割を果たすとして理解された。染料分子の酸化により変退色が起こるポリエステル染色布に対してはUVAのそうした作用機構が有効に働くと考えられた。しかし、染料分子の還元によって変退色を引き起こすと見込まれるナイロン染色布に対してUVAは機能を果たさなかったと推察された。
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