2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500518
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
上村 協子 東京家政学院大学, 家政学部, 助教授 (00343525)
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Keywords | 農地 / 認定農業者 / 共同申請 / ネットワーク / 家族経営協定 / 女性農業委員 / 生活改良普及員 / 女性農協役員 |
Research Abstract |
農家の資産とりわけ不動産は、男性経営主に所有名義を集中させ分割しないことを当然とする慣習・意識が残存しており、女性農業者と男性農業者では、農地・宅地・家屋などの所有名義に圧倒的な格差が存在する。農業委員やJA理事総代への女性登用など、農山漁村女性の資産形成を促進する具体策は展開されつつある。しかし、同じ政策が推進されても、女性農業者の経営参画・社会参画が進む地域もあれば、進展が見られない地域もある。それぞれの、地域社会での女性農業者のもつソーシャル・キャピタルの質と家族・家計が相互に作用し、女性農業者の資産形成を規定していると考えられる。 まず県別状況を検討した。女性農業委員の活動としては、長野県が女性農業委員の数も多く特色ある活動の歴史をもつ。今回の研究では、熊本農業者の活動が行政を動かす契機となった点に注目した。例えば「くまもと女性農業委員の会」が農地移動適正化あっせん事業に基づく「あっせん譲り受け等候補者名簿」に関して「夫とともに農業経営に参画している女性が農地を取得する場合の売り手への優遇措置に関する要望」を決議し農林水産省に要望書を提出したことが、女性農業者の農地取得を促進する動きにつながった。また、「認定農業者」へ夫婦共同申請が「認定農業者制度の運用改善のためのガイドライン」(平成15年6月)により出来ることとなったが、全国440件のうち熊本県の共同申請は245件である。熊本県は国に先駆けて独自の連名申請という制度を導入していたことが夫婦共同申請に結びついている。夫婦共同申請には家族経営協定が締結されていることが条件となり単独での女性認定農業者の多い北海道、岩手、鹿児島と異なった動きをしている。 農家にきめ細かい指導をしてきた生活改良普及から、認定農業者を重点的に支援する方向が出されるなか、地域のネットワークをつなぎ組合せ生活支援を行っていく方法の確立が女性農業者の資産形成には重要である。地域に根付いた活動への聞き取りを進める予定である。
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