2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500526
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Research Institution | Niigata Women's College |
Principal Investigator |
菅井 清美 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 教授 (60150299)
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Keywords | 触感温度 / 触感温度評価式 / 接触熱抵抗 / 熱伝導率 |
Research Abstract |
身体の一部が物に触れた瞬間に、その物をどのように感じるかを評価することは、物質評価の重要な関心事であり、これまで身体が物に触れた直後に感じる温度を「触感温度」と呼び、単一の数値で表す測度として触感温度評価式を提唱した。しかし、日常触れる物体の表面にはその製品の付加価値を高めるために、塗料や保護膜などさまざまな加工が施されている。これらの表層材が非常に薄い場合は接触熱抵抗として取り扱うことができ、非常に厚い場合は皮膚と表層材だけの完全接触として取り扱うことができる。しかし、触感温度を感じる皮膚内の温度受容器の位置する深さに比べて表層の厚さが同程度になると、接触熱抵抗モデルによる近似はもはや成り立たず、厳密な解析解を導き出すことが困難になる。そこで本研究では数値解法を用いてこの問題を取り扱った。その結果を発表しているが、現在、触感温度に及ぼす表層材の厚さの影響がどの程薄くなると顕著に現れるかを検討中である。 また人の知覚による表層材の影響を検討するために、温度を可変できる触感温度測定装置を作製し、被験者実験を行った。装置表面の接触面には熱伝導率が高くて温度むらができにくいアルミニウム板を、加熱部には鉄板に密着し容易に均等な加熱ができるマグネット付のシリコンラバーヒータを用いた。この装置を二つ作成し、一方には表層材としてポリ塩化ビニルを貼り付けた。表面の温度測定にはアルメル-クロメル熱電対を使用した。実験は一方の装置の温度を固定し、他方の温度をそれより低い温度から少しずつ上昇させ、どちらが熱いかを選択してもらう方法とした。その結果、物質の表面に薄膜を貼ることにより人が感じる熱を緩和する効果が生じることが確認できた。また、物質の温度と体温との差が大きいほど薄膜を貼る効果が大きいことも確認でき、さらに装置を改良して表層材の影響を検討する予定である。
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