2005 Fiscal Year Annual Research Report
生活保護被保護世帯・低所得世帯の住宅状況と居住水準に関する研究
Project/Area Number |
17500528
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
阪東 美智子 国立保健医療科学院, 建築衛生部, 主任研究官 (40344064)
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Keywords | 社会福祉関係 / 人間生活環境 / 住宅 / 生活保護 / 居住水準 / 低所得 / ホームレス |
Research Abstract |
生活保護被保護世帯を含む低所得層の住宅状況の全体像を把握するために、関連書籍・資料を収集し、データを整理した。今年度はこれに加えて、以下の2つの調査を実施した。 (1)東京都区が実施している「ホームレス地域生活移行支援事業」によって、東京都立戸山公園からアパートに移行した221世帯(夫婦6世帯、親子1世帯を含む)のうち、203世帯(夫婦6世帯、親子1世帯を含む)について、生活サポートを実施しているNPO団体の協力を得て、移行先のアパートの状態を調査した。「ホームレス地域生活移行支援事業」の利用者のうち、3〜4割は生活保護の対象と見込まれている。最低居住水準と比較すると、中高齢単身世帯の基準である25m^2を満たしているのは8世帯であり、単身世帯基準で見ても18m^2をクリアしているのは40世帯に過ぎなかった。設備については、トイレ専用が54%、風呂専用が24%で、専用の流し台・トイレ・風呂を備えた住宅に移行した世帯は48世帯であった。 (2)大阪市と大阪市西成区保健福祉センターの協力を得て、大阪市西成区の60歳以上の高齢居宅生活保護者1,245名を対象に調査を行なった。設備条件と居住室の広さによって最低居住水準を満たしているかどうかを確認したところ、水準を満たしているのは11%であり、約半数は広さも設備条件も最低居住水準を満たしていないことが明らかとなった。また、敷金や保証人問題が住宅確保の上で大きな負担となっており、敷金や保証人が不要な住宅を選好するために、結果として広さや設備条件が悪くなっている状況がみられた。一方、住宅扶助額が住宅の質や状態に関係なく家賃の実額として固定化しているため、居宅保護者を対象とする住宅の家賃が上方に硬直化している傾向が観測できた。
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Research Products
(1 results)