2005 Fiscal Year Annual Research Report
加熱調理により生じる食品ポリスルフィド類の機能性と毒性に関する研究
Project/Area Number |
17500532
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森光 康次郎 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (00244533)
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Keywords | ポリスルフィド / 第二相解毒酵素 / ジアリルジスルフィド / 酸化ストレス / 第一相解毒酵素 / アリシン |
Research Abstract |
ネギ属香辛野菜中の重要な機能性含硫成分であるポリスルフィド類と、キノコのフレーバー含硫成分である環状ポリスルフィド類を入手または合成、さらには実際の食品素材から単離した。この単離と分析操作には、本年度購入備品である液体クロマトシステムが大いに役立った。 準備したサンプルの中で、ニンニク中のジアリルジスルフィド(DADS)はラット肝上皮RL34細胞へ投与後、時間を経て緩やかな第二相解毒酵素誘導能を示した。研究代表者らによる、これまでのイソチオシアネート類やトリスルフィド類とは異なる挙動を示すDADSに着目し、平成17年度はその誘導機構について検討を行った。 DADS投与後、RL34細胞内酸化ストレスレベルをDCF蛍光により調べたところ、Controlの2倍程度に達した。しかし、トリスルフィド類で見られたような、強い細胞内酸化ストレス誘導や投与初期でのグルタチオン(GSH)レベルの一過的な低下は観測されず、GSHレベルはむしろ遅れて上昇した。第二相解毒酵素誘導の1つであるグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)誘導能の測定結果は、18時間に向けて緩やかに上昇し、トリスルフィド類の3時間から上昇する即時性とは完全に異なっていた。一方、DADSは代表的な第一相解毒酵素群(CYPs)によりアリシンへ変換される可能性が報告されている。そこで実際、アリシンを生ニンニクから調製、単離してRL34細胞に投与すると、強力な細胞内酸化ストレスとGST活性の誘導が認められた。また、市販肝ミクロソームを用いて試験管内でDADSを処理すると、極微量のアリシンが検出でき、細胞内及び生体内でのDADS代謝変換により、第二相解毒酵素誘導能を示した可能性が高いと考えられた。現在、DADSにより誘導されるCYPsのタンパク質レベルをウエスタンブロット解析にて進めている。
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