2006 Fiscal Year Annual Research Report
加熱調理により生じる食品ポリスルフィド類の機能性と毒性に関する研究
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17500532
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森光 康次郎 お茶の水女子大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (00244533)
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Keywords | ジアリルトリスルフィド / ジアリルジスルフィド / ポリスルフィド / ニンニク / 第一相解毒酵素 / 第二相解毒酵素誘導 / アリシン |
Research Abstract |
前年度の研究において、ニンニク中のジアリルジスルフィド(DADS)がラット肝上皮RL34細胞へ投与後、時間を経て緩やかな第二相解毒酵素誘導能を示すことを明らかにした。これは、すでに報告してきたジアリルトリスルフィド(DATS)などのポリスルフィド類による投与後早々の誘導性とは異なる挙動であった。そこで、DADS誘導機構についてさらなる検討を行った結果、DADSが細胞内で代謝されて(変化して)第二相解毒酵素誘導能を示している可能性が示唆された。すでに、DADSは代表的な第一相解毒酵素群(CYPs)によりアリシンへ変換される可能性が報告されている。そこで、アリシンを生ニンニク磨砕物から単離してRL34細胞に投与すると、強い第二相解毒酵素誘導活性が認められた。また、市販肝ミクロソームを用いて試験管内でDADSを処理すると極微量のアリシンが検出された。DADSの代謝変換物の1つとしてアリシンの可能性が挙げられた。よって、細胞内でDADSからアリシンが生成するのならばCYPsが誘導されるはずであると考え、入手可能なCYPsの抗体を用いてウエスタンブロット解析を行った。しかし、文献で報告されているようなCYPsの顕著な誘導は全く認められなかった。また、細胞内抽出物中にアリシンを検出できなかった。DADSは水溶液中では大変不安定であり、小腸吸収や血中において生成したとしても肝臓まで、そのままで運ばれてくる可能性はほとんど無いと考えられた。よって、第二相解毒酵素誘導能を示すDADSの代謝物は別にあると考えられた。 一方、市販のニンニク製品を購入し、DADSとDATS量をGCにより定量を行い、併せてDNA鎖切断活性も調べた。生ニンニクとガーリックフライ(揚げたガーリックチップ)の抽出物において、DNA鎖切断活性が認められたものの、正常な摂取量においては、どの製品も安全であると推測された。
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