2006 Fiscal Year Annual Research Report
電磁波を利用したデンプン食品の部位選択的加熱加工法に関する基礎研究
Project/Area Number |
17500534
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
福岡 美香 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (10240318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 尚彦 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (00100967)
酒井 昇 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (20134009)
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Keywords | 電磁波 / マイクロ波 / デンプン食品 / 糊化 / 偏光顕微鏡 |
Research Abstract |
麺類や米飯といったデンプン食品の調理は、一般的に調理時間が長い。その理由は、熱媒体と接する食品表面から順次、熱移動、水分移動が進行し、それにともなって生じるデンプン糊化反応が水分移動に多大な影響を及ぼすことによる。糊化は温度のみならず含水率の関数であり、含水率が低い場合は糊化しない。また、糊化したデンプンは、さらに水を要求するため、糊化が先行した領域での平衡含水率は上昇し、麺中心部が十分に糊化するまでに時間を要する。本研究では、デンプン食品の調理時間を短縮する手法として、あらかじめ生麺の中心部分のみ選択的に加熱糊化させるということを考えた。 部位特異的に加熱する手法として、これまで、電磁波((1)マイクロ波および(2)近赤外線レーザー)による加熱を検討した。平成18年度は、主にマイクロ波による加熱手法の検討を行った。 2450MHzのマイクロ波を照射して、目的部位である中心領域のみデンプン顆粒を加熱糊化させた麺を作製することができた。さらに対象物の形状、および誘電特性からマイクロ波の浸透性を予測して、目的部位のみ選択的に加熱することが可能であることが実証できた。すなわち、マイクロ波照射によって生じる麺線内の温度分布は、加熱対象である麺線の直径に大きく依存した。麺線の直径が15mmの場合、照射を開始して約1分後で,中心部の温度は60℃に達しているのに対して、表層部は40℃であった。その結果,中心部のみデンプン顆粒を糊化させることが可能であった。麺線内のデンプン顆粒が糊化したことは、偏光顕微鏡を用いて確認した。一方、麺線の直径が7mmの場合、麺線中心部と表層部とで温度差は生じるが、いずれもマイクロ波照射による温度上昇速度が速く、また両者の温度差が小さいため、中心部のデンプン顆粒だけ十分に糊化させようとすると麺全体が加熱糊化するという問題が生じた。この問題を解決するために、マイクロ波の誘電特性が氷と水とで異なることに着目し、麺線の表面付近のみ凍結させ、中心付近は未凍結となるように処理した麺をマイクロ波照射したところ、中心部のみデンプン顆粒が糊化したことを偏光顕微鏡法によって確認できた。この方法では、照射するマイクロ波の周波数と試料の誘電特性および形状(大きさ)によって試料に対するマイクロ波の浸透深さが異なるため、麺の直径が小さくなるに従って、選択的加熱は難しい。試料を凍結することで、浸透深さを大きくして、麺線中心部のみを加熱することを試み、これに成功した。しかしながら、実際の麺の直径と比べると、未だに大きく、実際の麺の大きさで選択的に加熱することは不可能であると予想された。 そこで、中心のみを糊化させた麺を作製するのではなく、麺全体を均一に過不足なく適切な糊化度に加工することで、調理時間の短縮を目指し、マイクロ波加熱を用いることで、これに成功した。
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