Research Abstract |
1.小豆種皮粉新食品素材開発:小豆の製餡加工時に生ずる種皮を食品素材に利用する目的で,種皮を乾燥し製粉(A:無処理粉)した。Aを超音波併用の蒸留水15分間処理のペースト状(B),Aを蒸留水の浸漬16時間処理のペースト状(C)の色調,一般成分,食物繊維,無機成分,遊離アミノ酸,ポリフェノール・組織構造について比較検討した。その結果,Aの歩留りは平均31.2%で,小麦粉に比べ保水力が3倍,吸油力が1.6倍であった。素材Bでは,超音波処理により,たんぱく質,脂質,灰分は若干減少し,炭水化物,総食物繊維が相対的に増加した。9種類の無機成分,遊離アミノ酸,ポリフェノールでは有意な差はなかった。走査型電子顕微鏡の組織観察では,超音波処理したBは無精製のAに比べ,種皮粒子の表層部の窪みや皺が鮮明で超音波照射の精製効果が観察された。官能評価では,超音波15分間処理は不快臭が除去され,赤の色合いが濃くなり,種皮粉が新規食品素材として利用できる事を,日本食生活学会誌(Vol.16,No.3,p249-254,2005)に報告した。 2.小豆種皮粉添加マフィンと蒸カステラの調製:種皮粉を食品素材の利用についての具体的例として(1)マフィンの調製では,小麦粉の20%を種皮粉A,Bで置換することが可能であった。製造したマフィンのパサツキ感は超音波精製処理した蒟蒻ゲル2.2%を添加することにより改善され,味,色,総合評価で優れていた。また,保存試験でも良好な結果を得た。日本調理科学会誌(Vol.38,No.5,p417-425,2005)に報告した。(2)蒸カステラの調製では,小麦粉の20%を種皮粉Bで置換した製品は無添加製品に比べ,小豆色を帯び,水分含量と比容積は大きく,硬く砕けやすい食感を示したが,香り,味,総合評価で好まれた。保存中における素材Bと精製蒟蒻ゲル2.2%添加製品は澱粉の老化と生菌数を抑制し,蒸カステラの品質を高めた。結果は日本食生活学会誌(2006,2月)に投稿中。又、小豆粉・種皮粉の人体への影響や効果は,現在検討中である。
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