2006 Fiscal Year Annual Research Report
公共空間内監視カメラ設置指針策定のための応用倫理的研究およびデータベース作成
Project/Area Number |
17500582
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松王 政浩 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (60333499)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 安功 静岡大学, 情報学部, 教授 (80283331)
淺間 正通 静岡大学, 情報学部, 教授 (60262797)
|
Keywords | 監視カメラ / 監視社会 / プライバシー / 情報倫理 / 公共空間 |
Research Abstract |
まず、松王・岡田は、Camera Surveillanceをめぐる欧米のリポートの検討、および、カナダで開催された北米最大規模のプライバシー会議(Reboot conference ‘Security & Privacy')への参加と研究交流を通じて、欧米での監視カメラ議論の動向を探った。その中で分かったことは、日本のように「個人情報」という「形」にいたずらに捕らわれたり、権力/個人を単純に対置するのではなく、他者のプライバシーをきわめて自然な権利として尊重する姿勢を共有しつつ、‘reasonable expectation of privacy'という一つのキー概念を非常に丁寧に精緻化しようとする議論が、彼らの議論の中に確実に根付いているということである。こうした議論の具体的な中身は国内ではまだ十分紹介・吟味されていない。目下、本研究が最終的に目指す「監視カメラ設置基準データベース」に掲げる資料として、これらの整理を続けている。 一方、日本における監視カメラ議論の現状についても、松王・淺間で平行して調査を行った。今年度は、i)東京都杉並区など、すでに地域の条例で防犯カメラ(監視カメラ)の設置基準を定めている事例の「討議」のプロセス、ii)小中学校における監視装置(RFIDによる監視も含む)設置試行についての「設置者」主体の評価、およびiii)「監視カメラと街頭ポリティクス」(小倉利丸)など「日本型」が多分に意識された論考、などをそれぞれサーベイの対象とした。この調査の中で、「安定した管理体制の下での限定的な自由の行使」という権利の考え方が、日本での現行議論や、かかる問題への一般的な意識においては非常に強いとの見込みを得た。上記の欧米の動向調査と併せて、現在さらに「日本型」の特質の洗い出しを進めている。 また岡田は、メディア一般によるプライバシー侵害、個人情報保護とデータベースをめぐる問題など、監視カメラ問題に密接に結びつく法的問題の整理を行い、概説的な記事を著書として発表している。
|
Research Products
(1 results)