2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症児の認知情報処理特性と言語発達および言語指導の方法に関する研究
Project/Area Number |
17500600
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
玉井 ふみ 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (10280207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 和子 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (30280209)
堀江 真由美 県立広島大学, 保健福祉学部, 助手 (90310862)
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Keywords | ダウン症候群 / 認知発達 / 言語発達 / 聴覚的短期記憶 / 会話 |
Research Abstract |
2〜3語発話のみられるダウン症児の会話について、自由会話場面、積み木場面、絵本場面の3場面を設定し、場面による会話の変化を分析した。対象児は、言語発達の遅れのあるダウン症児2例である。被検児Aは、8歳9ヵ月、男児、言語発達:<S-S法>言語発達遅滞検査により、受信:3語連鎖、発信:3語連鎖が可能であった。被検児Bは、7歳10ヵ月、男児、言語発達:<S-S法>言語発達遅滞検査により、受信:3語連鎖、発信:3語連鎖が可能であった。 自由会話場面では、会話のやりとりが長く継続した。しかし、子どもの語用機能は応答がほとんどを占め、子どもの応答性が高いといえた。これは、会話能力が未熟な子どもの場合、相手からの記述、表出、質問に対し、応答を行うというやりとりの形式が多くを占めるためであると考えられた。積み木場面は、発話だけでなく非言語的コミュニケーション行動を用いてやりとりを維持することや、やりとりを開始することが可能であった。また、積み木遊びの中で、様々な状況が生起するため、多様な語用機能が出現しやすかった。絵本場面は、一つの話題を長く維持しにくいが、子どもが会話の開始者となり、会話をリードすることが可能になりやすかった。また、語用機能では、記述、質問といった高次とされる伝達機能が出現しやすい場面であった。これは、子どもが絵を見ることにより、既知の事柄についての記述を、未知の事柄についての質問を積極的に行うようになるためと考えられる。本研究では、ダウン症児の会話能力の発達について、場面設定の有効性が示唆された。
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Research Products
(1 results)