2006 Fiscal Year Annual Research Report
高校生・大学生との比較による高専生の数学学力の特徴についての調査
Project/Area Number |
17500607
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
馬渕 雅生 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 助教授 (90239145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 泰教 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 教授 (90003334)
鳴海 哲雄 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 助教授 (30228100)
馬場 秋雄 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 講師 (90280320)
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Keywords | 数学教育 / 学力調査 / 高専 |
Research Abstract |
平成17年度の調査では、高校のカリキュラム内容の定着度について、高校生・大学生、及び高専生から十分な量のデータを得ることができたが、大学で習う数学の内容の定着度については、十分なデータを得ることができなかった。そのため、平成18年度は、大学生と高専4,5年生(大学1,2年生に相当)についての調査を行った。 平成17年度に実施した、制限時間内に問題を解く形式の調査は、大学側(教員と学生の双方)に大きな負担となっていたので、平成18年度は、既習内容をどれくらい覚えているか(理解しているか)について自己申告してもらうアンケート形式とした。高校と大学で習う数学の内容について、34の項目を挙げて知識の定着度(理解度)を5段階で答えてもらった。一つの大学の協力を得て、3学年3クラスについて実施することができた。八戸高専では、後期の授業を使って7クラスで実施することができた。 集計結果から明らかになったことは、高専生側が、高校の内容の理解度については大学生より見劣りがするものの、大学の講義で習う微分積分と線形代数の内容については、大学生と互角であるという事実である。全てのクラスで高専側が大学生より高い自己評価をしていた項目もあった。数学の問題を解いたわけではなく、あくまでも理解度についての自己申告によるデータではあるが、高専生が大学相当の数学についてかなり自信を持っているということがわかった。 このような結果が得られた原因としては、高専の授業が大学の講義よりも高校の授業に近いこと、高専における学生と教員の関係が大学における学生と教員の関係よりも密であること、などが考えられる。これらは、今後、高専の教育の特徴としてさらに調査を進め、対外的にアピールしてもよい点であろう。一方で、大学生側が理論面に強く、高専生側が計算面に強いのではないかという予想もあったのだが、これについてはデータからは有意な結論は得られなかった。この点については今後の調査に期待したい。
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