Research Abstract |
高等専門学校における「創造教育」に関する調査を,2段階に分けて行なった. 第1段階は,「創造教育」1号〜5号(日本高専学会発行)に掲載されている文献44編を対象とした.その結果,創造教育の「内容」は,「ものづくり」「設計」「開発」が約70%を占めた.「実施主体」は,「クラス」単位で取り組まれたのが,もっとも多く66%を超えている.「指導」は,専門学科が約73%,「一般」約25%,「技術センタ」約10%である.「位置付け」は,カリキュラムが,約60%,卒研,イベントそれぞれ約20%である.取り組まれている「学年」は,各学年で約20%〜36%である.「連携」は,多い順に,「地域」,「企業」「大学」は同じで,ついで「自治体」「医療」となっている. 第2段階は,全国の高専に対し「創造教育」実施について,アンケート調査を行なった.全国,国公私立64校に依頼し,50校から210件の回答が行われた.その結果,創造教育の「内容」は,「ものづくり」が約70%であることは,「文献調査」の場合とほぼ同じであるが,「設計」「開発」は,約20%台と相対的には低い結果となった.「実施主体」は,「クラス」単位が,約60%で,次に「指導」は,専門学科が約72%,「一般」約26%,技術センタ約12%とほぼ「文献調査」の結果と同じある.カリキュラムに「位置付け」ているのも約60%で、これも「文献調査」と同じ傾向を示した.「学年」は,各学年で約15%〜25%と,「文献調査」より低い傾向がでているが,学年ごとに取り組まれたのが多くなった結果であろう.「連携」は,「地域」「企業」「自治体」「大学」「医療」となっており,「文献調査」とは,大学と自治体が入れ替わっているが,「地域」に根ざす高専の特長は共通している. 以上の二つの方法による調査、分析結果により,「創造教育」は,高専教育の大きい実績であり特長であることが明らかになった.さらに,「創造教育」を発展・深化させ,地域,社会に貢献していくためには,全国「高専の連携・協力」を有機的に進めることが求められる.この目的のためにネット上に「創造教育館」(仮称)の創設を提案し,その実現を「科学研究」の平成18年度の目標とする.
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