Research Abstract |
今年度は,初年度であるので,まず物品の購入等による研究環境の整備を行った。 また,5月の日本認知心理学会第3回大会に参加し,情報収集や交換を行い,研究計画を最終チェックした。 実験は,後学期に入って,研究代表者と分担者とで分担して実施した。実施にあたっては,それぞれの研究期間で,実験補助者をアルバイターとして雇用した。 今年度は,(a)自由再生課題,(b)場所のみの文脈操作,(c)反復間隔・保持期間が10分と1日の実験を行った。その結果,先行研究(自由再生,場所のみの文脈操作,反復間隔・保持期間ともに3時間)と同様に,異文脈反復優位の結果を得た。これまで,本研究代表者および分担者は,(a)自由再生課題,(b)複合的文脈操作,(c)反復間隔・保持期間が10分と1日の実験を行い,先行研究とは正反対の同文脈反復優位の結果を得ていた。以上の結果を総合すると,複合的文脈操作の時に同文脈反復優位,場所のみの文脈操作の時に異文脈反復優位の結果が生じると結論づけることができる。 以上の結果は,場所文脈と複合文脈が異質な機能を持つことを示唆している。すなわち,複合文脈がエピソード定義文脈に相当するのに対して,場所文脈はエピソード定義文脈内で変動する文脈と考えられる。さらに,エピソード定義文脈の場合に,同文脈反復優位の結果がしょうじたことは,エピソード定義文脈は脱文脈化しないと言うことを示唆している。 今年度の2つの実験(場所文脈,10分と1日で異文脈反復優位の結果)と,これまでに行った2つの実験(複合文脈,10分と1日で同文脈反復優位の結果)の4つの実験をまとめて,国際誌に投稿すべく,現在論文にまとめている。
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