Research Abstract |
自由再生課題の実験では,場所のみの文脈操作と場所・符号化課題・社会的要因を複合させた文脈のそれぞれにおいて,分散間隔10分で保持期間1日の実験を行った。その結果,複合文脈では,これまでと同様に同文脈反復(same-context repetition,SCR)優位の結果を得た。 これに対して,場所単独文脈では条件差がなく,異文脈反復(different-context repetition,DCR)優位でも同文脈反復優位でもない結果を得た。 これまでの一連の結果は,(1)SCR優位かDCR優位かを決めるのは,反復間隔でも保持期間でもなく,文脈の種類であること,(2)反復における文脈の多様性の効果の出現に比の法則が関与していることを意味している。以上の実験結果および考察を英文論文にまとめ,国際誌に投稿した。現在審査中である。 また,対連合課題を用いた実験も行った。文脈は,場所と社会的環境を組み合わせて行った。具体的には,大学の42名教室で集団実験(文脈A)と1スパンの研究室で個別実験(文脈B)とを用いた。学習は,SCR(AA,BB)とDCR(AB,BA)の条件下で,同一リストの対連合学習を行わせた。テストは2スパンの大学のゼミ室で対連合学習テストを行った。反復間隔と分散間隔が1日と1週間で実験を行ったが,いずれにおいても,数値上はDCR優位であるものの,統計的に優位ではなかった。昨年度の自宅と大学の間では優位な結果を得ることができたため,文脈捜査上の問題を改善して,来年度にはさらなる実験を行う予定である。
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