Research Abstract |
自由再生課題では,昨年度に行った実験で不十分だった実験参加者を追加し,実験を完成させた。その実験とは,場所のみの文脈操作(単純場所文脈)と場所・符号化課題・社会的要因を複合させた文脈(複合場所文脈)のそれぞれにおいて,分散間隔10分・保持期間1日の条件での実験である。最終的に,複合場所文脈では,これまでと同様に同文脈反復(same-context repetition, SCR)優位の結果を得た。これに対して,単純場所文脈では条件差がなく,異文脈反復(different-context repetition, DCR)優位でも同文脈反復優位でもない結果を得た。自由再生課題についての一連の結果を英文論文にまとめ,国際誌に投稿した。書き直し再審査の結果が出たので,現在修正中である。 また,対連合課題を用いた実験も,2つ実施した。 1 つめは,大学内で,場所・社会的環境(個別実験vs.集団実験)・実験者を組み合わせて行った。具体的には,文脈A(大学教室,集団実験,実験者A),文脈B(1スパンの研究室,個別実験,実験者B),文脈N(2スパンの大学のゼミ室,実験者C)を用いた。その結果,SCR条件とDCR条件との間に統計的に有意な結果は得られなかった。2つめは,文脈Aを自宅での個別学習,文脈Bを大学の教室での集団学習として行った。文脈Nは上記と同じであった。その結果,DCR優位の結果を得た。 4 つの対連合学習の結果をまとめると,(1)自由再生でSCR優位現象が生じる文脈操作以上のものであっても,大学内の文脈操作では,文脈多様性の効果が生じない,(2)大学と自宅という操作では,DCR優位現象が生じる。(1)(2)の発見とも、複数の実験で確認できており,信頼できる現象といえる。 この対連合学習の結果は,現在論文にもまとめている。
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