2006 Fiscal Year Annual Research Report
保存修復に使用される炭酸カルシウムの経年劣化とその製作技法に関する自然科学的研究
Project/Area Number |
17500690
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松井 敏也 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (60306074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢田 正昭 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (20000490)
松田 泰典 東北芸術工科大学, 芸術学部, 教授 (70254836)
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Keywords | 炭酸カルシウム / 貝殻 / 石灰岩 / 形態 / 識別チャート / 経年変化 |
Research Abstract |
炭酸カルシウム系の白色物質は漆喰や顔料などに古来より多用されている.それらは経年変化や大気汚染などにより劣化崩壊が進んでおり,その修復・保存方法が模索されている.本研究は従来の機器分析に頼っていた原材料の推定を顕微鏡観察などによる形態学的分類から明らかにした.(東アジア文化財保存修復国際会議にて発表、2006) 2種類の貝殻(カキ,ハマグリ)と石灰岩を(1)粉砕,(2)粉砕後に焼成した試料を屋内と屋外に曝露し,屋内環境と自然環境の影響により劣化・変質した試料の粒子の形状について評価した.6ヶ月後の形状変化について調査を行った結果,透過率と形状に変化が生じたことを報告した.(文化財保存修復学会第27回大会研究発表,2006).(1)粉砕した試料は屋外に曝露したカキにのみ形状変化が認められ,カキが薄く粉砕されやすいことから劣化も著しいことが推測された.(2)粉砕後に焼成した試料において,屋外と屋内では焼成後の水酸化・炭酸化の反応速度に違いがあり,屋外の試料には焼成後と炭酸化後の形状が混在していたのに対し,屋内の試料は炭酸化して崩壊する粒子もみられた. 更に同試料で,耐候試験機による強制劣化試験を行い,大気曝露との比較検討を試みた. 昨年度に作成した各種の貝殻、石灰岩、ドロマイトの識別チャートの充実を図った。地方によっては特産の炭酸カルシウム原材料を使用しており、文献資料からそれらを抽出し、形態学的分類により既存の原材料との相違点を明らかにした。 また、メキシコなど中米での貝殻使用事例の文献資料の収集を行なった。
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Research Products
(2 results)