2005 Fiscal Year Annual Research Report
加熱や光照射に伴う幾つかのルミネッセンス年代測定法の相互比較と高度化
Project/Area Number |
17500691
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋本 哲夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50027439)
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Keywords | 熱ルミネッセンス(TL) / 光励起ルミネッセンス(OSL) / 天然蓄積放射線線量 / 考古遺物 / 年間線量 / 年代測定 / 赤色熱ルミネッセンス(RTL) / 自動ルミネッセンス測定装置 |
Research Abstract |
焼成考古遺物から抽出した石英粒子に対して赤色・青色熱ルミネッセンス(RTL,BTL)や光励起ルミネッセンス(OSL)測定とともに,長石粒子による赤外光励起ルミネッセンス(IRSL)による天然蓄積放射線線量の見積もりと、それらの値に基づく年代測定を試みて相互比較し信頼性高い年代測定法を目指すと共にルミネッセンス年代測定法の高度化にむけて測定システムの改良を行った。 縄文焼成考古遺物である、土器片・瓦片・焼石・焼け土や長崎・広島の被爆瓦等を用い、粉砕・化学処理などと共に最後に重液分離分離で石英成分と長石成分に分離しルミネッセンス測定試料とした。 当研究室で開発したルミネッセンス測定装置は小型X-線照射装置を備えているため、単一試料再現(単分画再現,SAR)法で信頼性高い蓄積線量評価やルミネッセンス年代測定が達成できる機能を有している。石英・長石試料とも約15mg(3試料x5mg)と少量の試料で年代評価につながる焼成後の天然蓄積放射線線量を求めることができた。特に、赤色TL(RTL)自動測定装置としては世界に先駆けており、RTL石英粒子が大部分である焼成考古遺物の年代測定には最適の装置であることを確認できた。 光で励起し安定化するときに放出されるルミネッセンスを観測するOSL法も、焼成考古遺物からの石英・長石試料の蓄積放射線線量や年代評価に用いることができた。 その結果、9片の縄文土器の天然蓄積線量(PD)を、石英粒子を用いたRTL,BTL,OSL法および長石粒子を用いたIRSL(赤外光励起ルミネッセンス)の4種類の方法で評価できたが、石英粒子からのRTL法以外は、ルミネッセンス源のフェディングに由来すると思われる低いPD値を得た。RTLからのPD値を基に算出した年代は考古学者が縄文文様から推定した年代と調和していた。 長崎・広島からの被曝瓦からも同様に石英粒子からのRTLが最も高い被曝蓄積線量を示していた。これらのことから、石英粒子からのRTL測定が一番信頼性高いことを確認できた。
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Research Products
(6 results)