2005 Fiscal Year Annual Research Report
丘陵性山地における潜在的表層崩壊危険斜面の領域抽出に関する研究
Project/Area Number |
17500696
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大月 義徳 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00272013)
|
Keywords | 斜面崩壊 / 花崗岩類 / 新第三紀堆積岩 / 自然災害 / 土砂災害 / 防災 |
Research Abstract |
本研究は、降雨強度の大きい条件下で丘陵性山地斜面において発生する表層斜面崩壊現象(以下、表層崩壊と略記)について、実際に発生した表層崩壊での地形・表層地質・植生諸条件に関わるパラメータをもとに、1)非崩壊斜面にて表層崩壊の発生する危険度の高い領域を可能な限り簡便に判定する方途を明らかにし、2)潜在的な表層崩壊発生危険領域の地図化を通して、当該領域の微地形条件との対応関係を再検討することを目的とするものである。研究対象地域として、東北日本において表層崩壊の頻度が比較的高い花崗岩類分布地域、および丘陵性山地を構成する地質として一般的な新第三紀堆積岩分布地域を選定し、また表層崩壊の発生要因として降雨に限定することから、雪崩の多発する多雪地域を除外し、本研究課題を遂行する。 本年度は、花崗岩類分布地域として阿武隈山地西部地域において対象とする非崩壊斜面をいくつか選定し、当該斜面の崩壊土層に相当する風化の進行した褐色〜灰色マサ土の面的層厚分布を、現地計測から把握することを試みた。これらや、表層崩壊に移行しつつある地表変状を示唆する微地形分布を地形測量をもとに地図化しつつ、非崩壊斜面における危険斜面領域の抽出方法について検討したが、先行成果である林・大月(2003)による斜面安定性に関する評価基準を再吟味する必要性に迫られ、より適切な評価基準設定プロセスの確立を現在行っている。一方、新第三紀堆積岩地域における研究対象地域を模索しつつ、同様に異方性の高い風化残積土を生み出す新第三紀火山岩地域の、地形条件および斜面崩壊発生条件の類似するケニア・アバデア地域での現地調査・斜面水文観測結果の取りまとめと、表層崩壊発生過程の考察結果を公表しながら、これらも東北日本新第三紀堆積岩地域における表層崩壊発生の判断基準設定の手がかりとすることを企図している。
|