2005 Fiscal Year Annual Research Report
降雨-流出過程の長期変動と地域特性に関する自然地理学的研究
Project/Area Number |
17500706
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森 和紀 日本大学, 文理学部, 教授 (60024494)
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Keywords | 水収支 / 気候変動 / 降水量 / 蒸発散量 / 流出量 |
Research Abstract |
温帯湿潤気候下に位置するメソ・スケールの一級河川を対象に,国内7河川(石狩川・信濃川・利根川・木曽三川・雲出川・名張川・白川)の流域をとりあげ,降水量,月平均気温に基づき算出した蒸発散量,および両者の差として求めることのできる流出量に関する経年変化と地域特性について比較検討した。その結果,観測値の得られる1890年以降の過去105年間における流域水収支の特徴が,以下のとおり明らかとなった。(1)調査対象とした河川流域群は,流出量ピークの出現月により3つのグループに地域区分される。(2)流出量の季節変化が梅雨と台風に伴う降雨によって特徴づけられる河川流域では,1890年代後半以降,年流出量・年流出率がともに低下傾向を示す。(3)年降水量に関する平年値と各年との偏差は,1960年代から増加が継続している。次いで,降雨-流出過程の長期変化に及ぼす気候変動と人為的影響との関連性を流域単位で判別することを目的に,縮尺5万分の1地形図が発行された年次について流域の土地利用の変化を把握し,非浸透域面積・年降水量・年蒸発散量を説明変数として,年流出量との相関を重回帰分析により定量的に評価した。その結果,流量の極大値が梅雨・台風に支配される東海型気候区と融雪に支配される日本海型気候区の一級河川について流量最大値の既往順位が明らかになり,この結果を基礎に過去の代表的な流出イベントについて降雨-流出特性の類型化を行うことができた。さらに,水文気象条件の異なる河川流域について一貫した手法により考察の対象を発展させることが本研究課題の遂行にとって不可欠であることから,流出特性がわが国の河川流域と大きく異なる高緯度地域の中央ヨーロッパ河川を対象とする事例の比較研究を併せて行った。海外共同研究者と実施したワルシャワ近郊の試験流域を対象とする現地調査により,ひと雨降雨に伴う流出イベントにおける直接流出量の占める比率を明らかにした。
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Research Products
(4 results)