2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510013
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 雄光 琉球大学, 理学部, 助教授 (80343375)
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Keywords | サンゴ / 白化現象 / 過酸化水素 / 代謝 / 活性酸素 / 沖縄 |
Research Abstract |
最近の研究で沖縄本島北部の沿岸において赤土の流入が原因とされる海水中での過酸化水素の増加が報告されている。過酸化水素は活性酸素のひとつとして知られており,体内で生成した活性酸素は白化の原因ともされていることから,海水中の過酸化水素濃度の増加はサンゴになんらかの影響を与えることが考えられる。そこで,本研究では,過酸化水素がサンゴの生体に及ぼす影響を定量的に調べることを目的に研究を行った。新鮮な海水を一定の速度で飼育容器に供給することができる連続流水混合実験システムを用いてサンゴの代謝量を求めた。サンゴの代謝量はサンゴ群体の生理学的な状態を知るうえで重要な指標となる。実験では供給海水の過酸化水素濃度を0,300,3000,30000nM、と4段階に調整し,それぞれ3日間サンゴに供給した。その際,水温は一定,光量は12時間周期でON/OFFにした。研究の結果,過酸化水素0nM添加時と比べ,30000nM添加時で,石灰化の減少量は22.1-52.0%,光合成の減少量は18.6-48.0%であった。これより過酸化水素濃度上昇時,サンゴによる光合成及び石灰化が大きく阻害されることが明らかとなった。現在の沖縄本島周辺海域における過酸化水素濃度は最大で300nM程度であるが,これ以上過酸化水素濃度が上昇した場合,サンゴの生育に大きく影響する可能性が高いと考えられる。光合成や石灰化の阻害は,サンゴ礁の生産力やサンゴ礁の形成に大きく関わる可能性が高いので,今後の過酸化水素濃度の変動にも注目する必要がある。
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Research Products
(1 results)