2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510013
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 雄光 琉球大学, 理学部, 助教授 (80343375)
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Keywords | サンゴ / 白化現象 / 過酸化水素 / 代謝 / 活性酸素 / 沖縄 |
Research Abstract |
現在、世界中でサンゴ礁の衰退が危惧されている。近年、サンゴの白化現象が世界的に報告され、沖縄本島では1998年に大規模な白化が起こった。サンゴの白化は、海水温度の上昇が主な原因と考えられている。また、沖縄島沿岸域では、赤土など土砂の流入による海水中での栄養塩や過酸化水素の増加など人為起源物質の増加が報告されている。近年急激に進んでいるサンゴ礁の衰退は、海水温度の上昇による白化現象だけでなく、陸からの汚染物質の流入による海水中の栄養塩などの増加が関与していると考えられる。このため、高水温および栄養塩や過酸化水素といった環境ストレス因子がサンゴなど生体に与える影響を複合的に調べる必要がある。サンゴの代謝量測定はサンゴの生理状態を知るツールとして幅広く用いられている。そこで,本研究では,環境ストレスの一つと考えられている過酸化水素に着目し、サンゴ生体に及ぼす影響を定量的に調べることを目的に研究を行ってきた。昨年度は海水中の過酸化水素濃度の上昇に伴って、サンゴの石灰化や光合成が減少する結果を報告した。そこで、本年度は、海水中の過酸化水素濃度に影響する環境因子に関して、特に研究を行ってきた。その結果、沖縄の大気中には過酸化水素が多く含まれているが、海水への溶解はほとんど起こらないこと、海水中の過酸化水素濃度は、その場での光化学反応に大きく影響されること、さらに、表層海水と低層海水の混合により過酸化水素濃度は制御されていることが明らかとなった。沿岸域では、干潮時にタイドプールができやすいため、そこでの過酸化水素濃度の増加が懸念される。今後、さらに、研究を進め、タイドプールでの栄養塩濃度やその影響について調べる必要がある。
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Research Products
(2 results)