2005 Fiscal Year Annual Research Report
必須元素ヨウ素を含む揮発性有機化合物の海洋バクテリアによる生成に関する研究
Project/Area Number |
17510015
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
橋本 伸哉 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (10228413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早津 雅仁 静岡大学, 農学部, 教授 (70283348)
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Keywords | ヨードメタン / 海洋バクテリア / Alteromonas macleodii / Vibrio splendidus / GC-MS |
Research Abstract |
必須元素ヨウ素はほとんどが海洋中に存在し、生物によりメチル化されヨードメタン(CH_3I)等となって大気中へ放出される。大気中に放出されたCH_3Iは、陸上生物へのヨウ素の供給源である。そのため内陸部ではヨウ素欠乏症になりやすい。植物プランクトンや海藻によるCH_3I生成量は、年間0.01〜10Ggと見積もられている。しかし地球規模では年間100〜400Ggの生成量が概算されており、他の生成源の特定が望まれている。本研究では、新たな生成源として大きなバイオマスを有する海洋バクテリアに着目し、CH_3I生成について検討した。 海洋中に広く分布するAlteromonas macleodii(IAM 12920)とVibrio splendidus(IAM 14411)を用いた。バクテリアをオートクレープ滅菌済みのヨウ化カリウム添加(0〜1000μM)Marine Broth 2216培地に植菌し、対数後期まで前培養した。この培養液を12000rpmで3分間、遠心分離し、上澄み除去後、同量の培地を添加する集菌・洗浄操作を2回行った。この菌液を本培養用培地に1%となるように添加し、25℃で振とう培養した。その後、(1)I^-(1mM)添加、無添加の培地においてCH_3Iの生成量の経時変化を測定した。(2)24時間培養後、I^-(0.1〜1000μM)添加培地におけるCH_3I生成量の変化を測定した。測定はパージ&トラップGC-MSを用い、生菌数は吸光度(OD_<600>)からコロニー計数法により算出した。 実験結果:(1)A.macleodiiとV.splendidusの増殖曲線から、I^-の添加はバクテリアの増殖速度には影響を与えなかった。C_H31の濃度を経時的に測定したところ、1mMI^-添加培地において時間依存的なCH_3Iの濃度増加が見られた。しかし、I^-無添加培地では、濃度増加が見られなかった。(2)24時間培養後、I^-(0.1〜1000μM)添加培地におけるCH_3I生成量の変化を測定した結果、CH_3I濃度はI^-の濃度依存的な増加が見られた。また、添加したI^-濃度と生成したCH_3I濃度からCH_3Iの変換率を算出したところ、I^-が低濃度な程、変換率が高いことが確認された。次年度は、培養温度による海洋バクテリアのCH_3I生成に与える影響について検討を行う予定である。
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