2006 Fiscal Year Annual Research Report
必須元素ヨウ素を含む揮発性有機化合物の海洋バクテリアによる生成に関する研究
Project/Area Number |
17510015
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
橋本 伸哉 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (10228413)
|
Keywords | ヨードメタン / 海洋バクテリア / Alteromonas Macleodii / GC-MS |
Research Abstract |
ヨウ素は甲状腺ホルモンの構成元素として,人類や動物にとって必須な微量元素であり,ほとんどが海洋に存在している.海洋由来の主なヨウ素はヨードメタンであり(CH_3I),その生成源の特定は遅れている.本研究では新たな生成源として,海洋中に大きなバイオマスを有するバクテリアに着目し,CH_3I生成における海洋バクテリアの関与について検討を行った. 海洋バクテリアはAlteromonas Macleodii(IAM 12920)を用いた.ヨウ化カリウムによりI^-濃度を調製したMadne Broth 2216培地を滅菌し,A.Macleodiiを植菌した.これを対数後期まで10,15,20,25,30℃の温度環境の下,前培養iを行った.この培養液を本培養用培地に添加し振とう培養した.各培養温度におけるcH_3Iの生成量を経時的に測定した.またI^-濃度0.1〜1000μMで培養し,各濃度におけるCH_3I生成量を測定した.測定はパージ&トラップGC-MSを用い,生菌数は吸光度(OD_<600>)からコロニー計数法により算出した. 結果から,I^-添加,無添加による経時的な生菌数の変化は,ほとんど差が見られなかった.また各培養温度(15〜30℃)において,I^-存在下で明らかなCH_3I生成を確認した.最も生成量が高かった培養温度は25℃だった.I^-濃度を0.1〜1000μmol/Lに調製した培地におけるCH_3I生成量の変化を測定した結果,CH_3I濃度はI^-の濃度依存的な増加が見られた.表層海洋中のI^-濃度(約0.4μmol/L)におけるCH_3I生成量を見積もると約0.19nmol/Lとなった.本実験から観測されたCH_3I濃度を実際の海水表層中のバクテリア密度当たりで換算すると,海水中の2から20%の濃度が説明でき,このことから海洋バクテリアがCH_3I生成に関与していることが示唆された.
|