2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510025
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 信 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教授 (00133132)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 光 京都府立大学, 農学研究科, 教授 (30216775)
酒井 徹朗 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10101247)
小椋 純一 京都精華大学, 人文学部, 教授 (60141503)
|
Keywords | 森林景観の回復 / 京都市 / マツ林の回復 / シイ林の拡大 / モニタリング |
Research Abstract |
京都市の歴史的景観を回復させることを目的に、18年度はI.古い絵図類による植生景観の歴史の考察、II.高台寺国有林(東山)で行われたシイ林の種の多様性を回復させるためにシイを部分伐採した森林施業後のモニタリングの継続、III.銀閣寺山国有林(大文字山)で行われたアカマツ林を再生するために上層木を除伐し落葉落枝を除去した森林施業の検証を行った。Iについては、幕府の畿内大工頭が作成・所蔵したと見られる江戸中期(18世紀)の洛中洛外の大絵図、室町初期の洛中洛外図をはじめ、社寺林については絵図類のほかに文献や明治期の写真や地形図をもとに、京都近郊の植生景観の歴史について考察を行った。IIについては、0.4、0.7haの固定調査地内に2mx2mの59個のサブプロットを設定し、樹高25cm以上の稚樹調査、下層植被調査、開空度の測定を行った。また、0.4haのプロット全域では伐採3年後の亜高木・高木(樹高1.3m以上)の追跡調査を行った。その結果、開空度の違いや伐採前の植生の違いによって、亜高木が枯死して個体数が減少しているところ、ウラジロ等のシダが増加しているところ、シイの実生が無数に更新しているところ、シイの切り株からの萌芽発生が著しいところ、イチゴ類、アカメガシワ、タマミズキ、コシアブラ、エゴノキ等の稚樹の繁茂が著しいところなど、様々な更新状況が観察された。IIIについては、残存アカマツを母樹とする天然更新補助作業によって、今までに報告されてきた研究と比較して、アカマツ稚樹の発生率や生存率が高くなることが明らかになった。また、同林地で行われた土壌最上層の有機物層を剥ぎ取ることと、さらに階段を造成する2つの地表処理を加えたアカマツ直播試験結果からは、このような地表処理が稚樹の発生・定着・成長にさらに有効であることが明らかになった。一方、3年間の結果からは、2つの地表処理のうち階段の造成は労力がかかるわりに大きな効果はみられないことも明らかになった。
|
Research Products
(5 results)