2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 信 Kyoto University, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (00133132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 徹朗 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10101247)
高原 光 京都府立大学, 農学研究科, 教授 (30216775)
小椋 純一 京都精華大学, 人文学部, 教授 (60141503)
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Keywords | 森林景観の回復 / 京都市 / マツ林の回復 / シイ林拡大 / モニタリング |
Research Abstract |
京都市の歴史的景観を回復させることを目的に、20年度は(1)過去に制作された絵図類をもとにした植生復元、(2)樹幹解析によるアカマツとシイの近年の成長量調査、(3)東山、西山の航空写真による森林植生の変遷の解析、(4)森林施業に伴うアカマツ林の再生((4)-1)、シイ林の種多様性の回復((4)-2)に関するモニタリング調査を実施した。(1)からは、室町時代後期から江戸時代は概して高木が少なく、植生自体がないところが多いこと、(2)からは、近年のアカマツの成長は古い時代と比較してかなり速く、シイはそのアカマツよりも数倍以上速く成長していることが明らかになった。(3)からは、東山では清水山同様に稲荷山でもシイ林の拡大が進行し、過去から照葉樹林が残される西山・松尾大社裏山ではシイ林の分布拡大傾向が認められ、上部のマツ林は尾根部では高木種を欠いたネジキ・リョウブ中心の林分、斜面ではコナラ・アベマキなどの落葉広葉樹林に変化していることが明らかになった。(4)-1からは、4〜5年前に上木の落葉樹を除伐し下層植生を除去するアカマツ天然更新施業を実施した林分では、除伐の程度によって、残存木が再び林冠を覆うか、下層植生の繁茂が著しかった。アカマツ更新稚樹の成長を促すために、上木の再除伐、下層植生の除去が実施され、今後の成長が期待される。(4)-2からは、東山照葉樹林では混交するヒノキの存在がシイ以上に種の多様性を制限すること、4年前に部分伐採され、とくに林冠が大きく破れた林地においては更新木の回転が速く、アカメガシワ・タマミズキなどの陽樹が枯死し、シイ・シロバイが再び優占する可能性があることが示唆された。今後、これら常緑樹を排除する施業を再検討することも必要である。
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Research Products
(6 results)