2008 Fiscal Year Annual Research Report
野生メダカ個体群の絶滅確率による有害化学物質の生態リスク評価
Project/Area Number |
17510027
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
田中 嘉成 National Institute for Environmental Studies, 環境リスク研究センター, 室長 (60338647)
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Keywords | 生態リスク評価 / 群集レベル効果 / 生態毒性学 / 生態系機能 / 栄養転換効率 / 食うものと食われるものの関係 / ミジンコ / メダカ |
Research Abstract |
水系生態系の機能の基準として,1次生産者から1次消費者を経て2次消費者にバイオマスが受け渡される栄養転換効率に着目し,3栄養段階群集モデルによって,これを最大化するモデルパラメータおよび構成種の機能形質を明らかにした.その結果,系の状態(富栄養か貧栄養か,魚の密度が高いか低いか)に関わらず,ミジンコの生態効率(摂食したバイオマスのうち、個体成長と繁殖によって個体群レベルのバイオマス増加に寄与する比率)が重要であることが示唆された.ミジンコの生態効率は体サイズが小さくなるほど低下すると言われているので,化学物質の群集撹乱効果によって生態系機能が影響を受ける基本的なスキームが得られた.野外の動物プランクトン構成の変化に対して、群集レベルの生態系機能の反応を推定するために、日本の湖や池沼に生息する主要な動物プランクトン種の機能形質データを文献情報から収集し、整理した。 野外調査においては、藻類-ミジンコ-メダカの3種系モデルの作成に必要な、動物プランクトン種構成および個体数、メダカの相対個体数(目視個体数)のデータを、霞ヶ浦(北浦)周辺の水田排水路において、前年までに引き続き収集した.その結果、メダカの生息密度が比較的高い生息地では動物プランクトン(タマミジンコ、オカメミジンコなど)が多く、他の淡水魚類(モツゴ、フナなど)が優占する生息地では、これらの大型動物プランクトンは消失する傾向があった.モデルが仮定しているボトムアップ効果は明確でなかったが,メダカはプランクトン食が強くなく、ミジンコ群集が崩壊するほどの強いトップダウン効果をもたらさない、水系生態系にとって良好な上位捕食者であることが示唆された.
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Research Products
(5 results)