2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市環境管理における官民パートナーシップと効率性に関するアジア比較研究
Project/Area Number |
17510035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
白川 博章 名古屋大学, 大学院・環境学研究科(工学部), 助手 (50393038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 慎治 広島大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (00346529)
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Keywords | アジア / 都市環境 / 官民パートナーシップ / 効率性 / DEA / 公営 / 民営 / 水道事業 |
Research Abstract |
現在、アジアでは32%の人々が都市に居住し、都市人口は年々増加する傾向にある。アジアの発展途上国では急速な都市化と政府の財源不足が原因となり、都市環境サービスが十分供給されているとはいえない。そこでインフラ整備を含む都市環境管理への民間参入が強く求められており、官民パートナーシップの重要性が高まっている。都市環境サービス事業の民営化は、資金調達面だけでなく、事業体の運営効率も改善することが期待されている。しかし、このことは、必ずしも自明ではない。そこで、民営が公営よりも効率的になる社会経済的条件を検討する必要がある。平成17年度は、マクロ統計資料を用いて、事業体の効率性比較を行った。以下に主な結果を記す。 公営と民営の水道水供給事業体で効率性を比較した。分析に用いたデータはアジアの13カ国50都市の水道事業体であり、分析モデルは、事前に関数型を選択する必要がないDEA(Data Envelopment Analysis)を用いた。また、その際、インプットの要因は、労働者数、運営費(人件費を除く)とし、アウトプットの要因は、給水人口と給水時間とした。 分析の結果、分析の結果、人口密度が高いほどDEAによる効率性評価値が高い傾向があることが分かった。また、塩素消毒のみを行っている事業体は、一般的な水処理を行っている事業体に比べて、効率性評価値が低いという結果を得た。一方、水道事業を完全に公営で実施している事業体を示す、公営のダミー変数に対する係数は、マイナスを示した。しかし、10%水準で統計的に有意とはいえず、この分析では、公営と民営で、効率性に違いがあるとはいえなかった。つまり、民間企業は、人口密度が高く立地条件のよいところで事業を行っているため、公営企業よりも見かけ上、効率性が高いという可能性があることが分かった。次年度は、さらにこの点を深く検討するため、中国を対象に公営と民営の効率性を比較する予定である。
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Research Products
(4 results)