2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市環境管理における官民パートナーシップと効率性に関するアジア比較研究
Project/Area Number |
17510035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
白川 博章 名古屋大学, 大学院環境学研究科(工学部), 助手 (50393038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 慎治 広島大学, 大学院環境学研究科, 助教授 (00346529)
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Keywords | アジア / 都市環境 / 官民パートナーシップ / 効率性 / DEA / 公営 / 民営 / 水道事業 |
Research Abstract |
アジアの発展途上国では急速な都市化と政府の財源不足が原因となり、都市環境サービスが十分給されているとはいえない。そこでインフラ整備を含む都市環境管理への民間参入が強く求められており、官民パートナーシップの重要性が高まっている。都市環境サービス事業の民営化は、資金調達面だけでなく、事業体の運営効率も改善することが期待されている。しかし、そのことは必ずしも自明ではない。平成18年度は、平成17年度に実施したマクロ統計資料を用いた分析をより精緻化するとともに、中国を対象として、官民パートナーシップの動向を調査した。以下に主な結果を記す。 まず、マクロ統計資料を用いた分析では、DEAを用いて水道事業体の効率性評価とそれに影響を与えている要因を検討した。その際、DEAの効率性評価値は0から1の値をとる。そこで、DEAの評価値を被説明変数、社会経済的要因および委託の種類(ダミー変数)を説明変数とし、トービットモデルを用いて、DEAの効率性評価に与える影響を検討した。分析の結果、集金・メーターの読取委託を行っている事業体の効率性は比較的高いという結果を得た。しかし、コンセッションおよび運営委託を行っている事業体は、そうでない自治体に比べて、一般的に効率性が高いわけではないという結果を得た。先行研究では、SFAを用いて一般的に民営が公営に比べて効率的であるとはいえないという結果を示しており、本研究でも同様の結果を得た。 また、中国を対象とした官民パートナーシップの動向については、その法整備の状況と官民パートナーシップの導入状況を調査した。その際、法整備については、地域別の違いを検討した。また、官民パートナーシップの導入を阻害しているといわれる、水道料金が低すぎるという点については、工業用水を対象に、トランスログ生産関数を用いて、水の限界価値と限界費用を比較し、限界費用が水の限界価値よりも低いことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)