2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的不安定性を引き起こすエピジェネティックな機構と細胞がん化における意義
Project/Area Number |
17510038
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
布柴 達男 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助教授 (10270802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 和生 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (20093536)
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Keywords | Saccharomyces cerevisiae / Loss of heterozygosity / 染色体不均等分配 / non-genotoxic carcinogens / Phenyl hydroquinone / butylhydroxy anisol / Spindle checkpoint / aneuploidy |
Research Abstract |
細胞のがん化過程には,DNA損傷に起因する突然変異だけでなく、二倍体細胞の相同染色体上の遺伝子がホモで不活性化する遺伝的不安定化の過程が必要である。昨年度の研究成果として,この遺伝的不安定性の指標としてLoss of Heterozygosity (LOH)を採用し、酵母二倍体細胞を用いたLOH誘導物質スクリーニング法を確立し、数種のnon-genotoxic carcinogen (non-GC)のLOH誘導性を見出した。本年度も引き続き、LOH誘導物質をスクリーニングするとともに、陽性物質のLOH誘導機構の解明を目指した。 その結果、今年度新規に検討した8種のnon-GCのうち、5種にLOH誘発性が確認され、それが正常アレルをもつ染色体の喪失によることが推定され、それらはいずれも類似した機構、すなわち染色体分配機構に作用し、不均等分配を招くと推定された。そこで昨年度から引き続き、陽性食品添加物o-phenyl phenol (OPP)の代謝物phenyl hydroquinone (PHQ)、同じく食品添加物のbutylhydroxy anisol (BHA)について機構解明を試みた。その結果、PHQとBHAはともに1) in vitroチューブリン重合/解離系で解離を阻害する、2)FACSにおいてG1期の酵母細胞に対しG1 arrest、S期の細胞に対してはG2/M arrestを引き起こす、3)それらのarrestがspindle checkpointとは独立の機構である、4)G2から早期M期で分解されるはずのPds1が分解されない、5)それに伴って核の分配なども起こらないことなどを観察した。以上の結果は、遺伝的不安定化には、DNA損傷に起因する機構だけでなく、染色体分配に関わるタンパク質との相互作用によるエピジェネティックな機構があることを示唆している。このような機構による染色体不均等分配は、がん細胞でよく見られる染色体の異数化の原因であり、細胞のがん化との密接な関係が示唆された。
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Research Products
(6 results)