2005 Fiscal Year Annual Research Report
有害化学物質曝露マウスにおけるマイクロダイアリシス法による神経免疫機能の検出
Project/Area Number |
17510051
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
TIN・TIN Win・Shwe 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, NIESポスドクフェロー (00391128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 秀和 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 室長 (00124355)
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Keywords | 神経免疫機能 / 有害化学物質 / マクロダイアリシス / マウス |
Research Abstract |
最近、我々はナノ粒子を気管内投与して炎症性細胞の肺への浸潤や免疫担当細胞間の情報伝達に働く物質の産生、及びリンパ節への粒子の移行について調べた。その結果、肺胞洗浄液中の炎症性細胞数の増加や炎症誘発性のサイトカイン、ケモカイン産生及びmRNA発現の増加、リンパ節への粒子の移行などが認められた。しかしながら、有害化学物質の脳への移動の有無、または、神経免疫機能への影響についての知見は不十分である。本提案は、in vivoマイクロダイアリシス法を用いて、有害化学物質を曝露したマウスの海馬における免疫反応を検出することである。 本年度は、マウスでin vivoマクロダイアリシス法を確立して、マウスの海馬におけるサイトカイン及びケモカイン産生の検出を目的とした。ラットでのマクロダイアリシス法はすでに確立されているが、マウスでは非常に例数が少ない。また、マウスを用いたマイクロダイアリシス法によるサイトカイン及びケモカインの測定報告はほとんどない。8週齢のBALB/c雄マウスに、麻酔下で、海馬にガイドカニューレを植え込み、ダイアリシスするまでに、stylet(ダミープローブ)を入れておいた。回復のため、6日以上マウスをケージにおいた。測定日に、styletをマクロダイアリシスプロープに交換し、ポンプからartificial cerebrospinal fluidを流して、マウスでのマクロダイアリシス方法を確立した。その後、LPS(10μgおよび100μg/匹)を腹腔内投与し、海馬内灌流液を採集し、サイトカイン及びケモカイン産生についてELISA法で測定した。しかしながら、最初の測定では、LPS投与による脳内サイトカインであるInterleukin-1beta産生の誘導が明確には示されなかった。その原因として、マクロダイアリシスプロープの膜の小孔が小さすぎ、蛋白質であるサイトカインの通過が困難であることが考えられた。そのため、プロープの膜を除去し、push pull perfusion法に変更し、大きな分子でもプローブ内に取り込めるように改良した。その方法を採用した結果、LPS(10μgおよび100μg/匹)の腹腔内投与による、嗅球、海馬、扁桃体,視床下部におけるInterleukin-1betaの投与濃度依存的な増加および、LPS投与後(2および4時間後)の時間依存的な増加も明らかとなり、現在実験を続行中である。
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