2006 Fiscal Year Annual Research Report
母乳細胞を用いたダイオキシン類曝露のバイオマーカーの有用性の検討
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17510053
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
米元 純三 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 副センター長 (30072664)
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Keywords | 母乳細胞 / CYP1A1 / ダイオキシン / バイオマーカー / 感受性因子 |
Research Abstract |
出産後1週間以内の母親からインフォームドコンセントのもと、母乳と血液の提供を受けた。また、アンケートにより、母親のプロフィール、出産歴、喫煙歴、食習慣などについて調査を行った。母乳は遠心し、母乳細胞とクリーム層に分離した。クリーム層について、ダイオキシン類およびPCBの分析を行った。母乳細胞については、前年度検討したリアルタイムRT-PCRの条件に従い、CYP1A1mRNAの発現解析を行った。Cyclophilin Bで補正した値の中央値は5.14(0.02-194.79)であった。母乳中ダイオキシン類濃度とCYP1A1mRNA発現との関連は見いだせなかった。血液サンプルについて、DNAを抽出し、CYP1A1(CYP1A1 m1、CYP1A1 m2)、GSTM1の一塩基多型(SNP)の解析を行った。CYP1A1m2 homoでは、wild,heteroに比べて有意に母乳中のPCDFsおよびPCDD/F+CoPCB濃度が低かった。CYP1A1m2とGSTMI nullの組み合わせの場合、CYP1A1が強く誘導されるという報告があり、母乳などの生体試料中のダイオキシン類レベルを曝露の指標とする場合には、CYP1A1、GSTMI遺伝子多型も考慮する必要があることを示唆している。今回の母乳細胞中のCYP1A1mRNAの発現で非常に高い発現を示した方は、CYP1A1m2とGSTMI nullの組み合わせであったが、この組み合わせの例数が少なく結論的なことはいえない。
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