2005 Fiscal Year Annual Research Report
双安定状態をもつ分子による単一分子水素結合型集合体のプロトン移動と分子演算能
Project/Area Number |
17510087
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
五島 健太 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (30380538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新名主 輝男 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (90037292)
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Keywords | 水素結合 / プロトン移動 |
Research Abstract |
我々の研究グループで研究対象としている化合物群は,生体分子の中でも情報を司りRNA塩基の位置異性体である,4-置換,6-オキソピリミジン類である.これらの母体骨格は,約半世紀以前に合成と電子スペクトルを用いた互変異性が議論されたが,結晶学的な構造情報は皆無であり,分子間での互変異挙動,即ち,プロトン移動についても議論されていない. 申請者らは,畿つかの分子ついて集積構造の決定を行った.X線構造解析の結果から,4-アミノ-6-オキソピリミジン1はN-H-O(2.763Å)とN-H・・・N(3.005Å)とから成る自己相補的な水素結合により無限遠一次元鎖構造を形成することが明らかになった.また,分子の原子間結合長は,例えばC-O結合長は,典型的なsp^2C=O二重結合長1.21Åよりも伸張され,sp^2C-O単結合の1.34Åよりも短い,1.262Åとほぼ中間の長さである.この様に原子価が決められない結合長は4から6位部位(メロシアニン部位N-^^<・・・>C-^^<・・・>C-^^<・・・>C-^^<・・・>O)に観測された.この結果から,分子間の相補的な水素結合により,メロシアニン部位に中性構造とイオン性構造が同程度寄与し,非局在化したπ結合を形成していてることが示唆された.この結合変調について詳しく議論するため,理論計算を用いて結合長を調べたところ,単量体を想定するよりも多量体を想定した計算結果から,自己相補的な水素結合によるMulliken chargeの変化および,結合変調している構造が得られた.実際に,無限遠一次元鎖のN-H・・・Nユニットに相当する化合物を別途合成し、その結晶構造から,結合交替構造を与えることを明らかにした。
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