2005 Fiscal Year Annual Research Report
カーボーンナノチューブの電流限界に関する理論及びシミュレーション
Project/Area Number |
17510092
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松永 康 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (70277838)
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Keywords | メゾスコピック物理 / ナノ構造物性 / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
今年度前半は、課題として残っていた金属的性質を持つアームチェア型ナノチューブを選択成長させるのに最適なシース電場を定量的に評価した。開放端単層ナノチューブに印加すべき最適電場をヒュッケル・ポアソン法を用いて見積もった。しかし、工学的には外部から制御できるシース電場の値を見積もることが要求される。1.チューブ間隔の下限は、チューブ長にほぼ比例することがわかった。例えば50nmのチューブを成長させるために必要な間隔は約30nmである。2.最適シース電場はチューブ長の3乗に逆比例することがわかった。即ちある長さより長いチューブに対しては外部シース電場制御による選択成長が可能である。例えば50nmのチューブを選択成長させるために必要なシース電場は1V/μmである。 本研究の成果は早稲田大学で行われたシンポジウムで報告し、また学術雑誌JJAPに投稿し掲載された。 次にナノチューブに流すことができる電流限界の研究について記す。本研究課題では有限長かつ帰還電流を考察するため、本質的に3次元問題となり既存のナノチューブ伝導理論が適用できない。そこでチューブが有限である効果と自己磁場の影響を考察するため、ランダウの量子化を参考に電子の束縛状態を議論した。有限の厚みのシートを設定し、シートを巻いたものがナノチューブとする。シートの中心面に正電荷を分布させシートと平行方向に磁場を配置する。電場・磁場の両効果を取り込んだ一電子の波動関数はエルミート関数で表すことができ、この関数の零点によって決まる束縛状態を新たに発見した。そしてシートの中心面を挟んで正負の進行方向が異なるモードが存在する波数条件を見いだすことに成功した。即ちマクロな帰還電流に対応する量子条件の第一歩を見いだした。この知見を基に格子条件の導入を含めたシミュレーションの準備を行っている。
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Research Products
(1 results)