2005 Fiscal Year Annual Research Report
スピン選別XAFS-磁性ナノ粒子の新しい状態分析法-
Project/Area Number |
17510094
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 久史 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (60250833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
バラチャンドラン ジャヤデワン 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教授 (80261593)
篠田 弘造 東北大学, 大学院環境科学研究科, 講師 (10311549)
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Keywords | スピン選別XAFS / 共鳴X線非弾性散乱 / 高感度・X線分光器 / 蛍光X線サテライト / 磁性ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究は、磁性をもったナノサイズの粒子(磁性ナノ粒子)の磁気・電子構造の評価法として、「スピン選別XAFS分光」を確立することを目指すものである。そのためには、強度の弱い遷移金属のKβスペクトルを、高感度かつ高分解能で測定できるX線発光分光器の開発がかかせない。本年度は、 1.これまで共鳴X線非弾性散乱の計測に用いてきた現有の分光器を、ナノ粒子のKβ発光測定用に改造することと、 2.スピン選別XAFSやそれと関連の深い「X線非弾性散乱」を、標準物質について試験的に測定することに主眼をおいた。 分光器の改良は順調に進行し、すでに磁性ナノ粒子(ZnFe_2O_4)について予備的測定を行っている。少数スピン選別XAFSに特にはっきりとした粒径による違いが観測され、その評価法としての有用性が確認された。現在、成果を論文にまとめている最中である。 先行して行った標準物質の試験測定では、放射光施設の性能向上のおかげで、予想を上回る成果が得られた。非弾性散乱を利用した高分解能化について、その効果の限界をきわめられた一方(論文1)、広いエネルギー領域に亘る非弾性散乱測定から得られる知見についてまとめることができた(論文2)。さらに微分測定という、高感度測定の新たな可能性を探ることもできた(論文3)。LaMnO_3(単結晶)のスピン選別XAFS測定からは、「常磁性相中にも局所的な磁気秩序が存在する」という、今後の磁性研究に大きなインパクトを与える結論が得られた(論文4)。
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Research Products
(4 results)