2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン注入によるナノ構造シリコンの構造・発光制御とその光機能デバイスとしての応用
Project/Area Number |
17510098
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
岩山 勉 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (70223435)
|
Keywords | シリコン / イオン注入 / ナノ構造 / 可視発光 / 光機能デバイス / シリコンフォトニクス / RTA / ナノクリスタル |
Research Abstract |
イオン注入により構造制御されたナノ構造シリコンを作製し、その物性(光学特性を中心とする)の評価を行った。本研究の特徴はイオン注入法によりドライ・クリーンな雰囲気のもとで絶縁体中に埋め込まれたナノ構造シリコンを作製することであり、従来の半導体プロセスとの整合性を持ち、清浄性、化学的安定性等の点で近年特に注目されている。また、急速ランプ加熱と電気炉を併用することで、高分散性、高発光効率、低温化など本研究で目的としたことをほぼ達成することができた。 注入シリコンイオンの分布状態は、イオン注入量、加速エネルギー、電流密度、基板温度などの様々な注入条件に依存する。また、注入イオンは飛程近傍を中心として近似的にガウス分布をするため、深さにより異なった密度で分布し、試料の構造の不均一性の原因になっている。今回の研究では注入時の加速エネルギーを段階的に変化させ、シリコンを多重注入することにより注入シリコンが二酸化シリコン中で深さ方向に対して近似的に方形的な分布を持つ試料を作製し、過剰シリコン濃度の試料内での均一化をはかった。注入後、注入シリコンを析出・凝集させるために高温での熱処理が必要となるが、この電気炉による高温熱処理前に急速ランプ加熱により短時間熱処理を行うことで発光効率が1桁ほど向上することがわかった。この前処理により、注入イオンの拡散、核形成、結晶成長プロセスなどが複雑に変化し、その結果として、ナノクリスタルの微細構造が影響を受け、発光強度が変化するものと考えられる。さらに、前述の高温熱処理は一般的に千度以上が必須であったが、急速ランプ加熱を併用することでこの処理温度の低温化も可能で、半導体プロセスでネックとなる「高温熱処理」もある程度克服することが可能となった。さらに、ここで得られた結果から、私たちの提案している発光モデルの妥当性も確認することができた。
|
Research Products
(5 results)